第184話 むんむん砦攻防戦③

一方南側のエキドナ陣営ではエキドナ国王が地団太を踏んで発狂していた。


「なんで連合幹部の儂が拒絶されるのだ!」

「何でも大森林の御使い様というのがトッパン国王の要請に応じて大量に物資を輸送して来て連合兵を鼓舞しているとの事です。」

「兵站の責任者は儂だ、直々に物資を持ってきたんだぞ!こっちを先に入れろ!」

「そう言われましても、応じないものは仕方ありません。」


連合本部を壊滅させてきた裏切り者の張本人のくせにこの言い草である。


「儂が直々に出向いて言って聞かせよう。付いてこい。」

「はい。」



「おい、儂は連合幹部のエキドナ国王だぞ!スマカラ少将、正規の物資はここにある。さっさと開門して迎え入れろ。」

「嫌どす。」

「怪しげな大森林の物資には毒や罠が仕込まれてるかもしれんのだぞ!」

「今頃届けてくるそちらの物資の方が怪しいどすえ。」

「そんなことはない、これらは連合王国からの前線への温かい贈り物だぞ。無碍にするのか!諸国を敵に回したいのか?」

「城外のメロンルの軍と戦闘が無い事が何より怪しいどす。」


そんなやり取りをしていたら城壁の上にトパーズが現れた。


「エキドナ国王、ソウシ様からの伝言です。『 裏切りの証拠は揃った。無能な連合首脳とは言え騙した上に殺して裏切った罪は重い。狡汚い裏切りのモンスターはこの世界にいらない。』だそうです。底なし泥沼発動!」

「な、なんだこれは!」

「「「「「うわあ、助けてー沈んでしまうー。うあー。」」」」」


ブクブクブク・・・プクッ!し~ん。


トパーズのお得意広域罠、底なし泥沼である。エキドナとその軍隊をすべて覆い尽くすように発動された。泥沼は自力では這い出す事は出来無い。底が無ければ自然にどこまでも沈んでゆくのだ。さようなら裏切りのエキドナ国王。金ですぐ転び戦争の火種にしかならない裏切り大好き傭兵達も一緒にご退場である。


全員沈むのを見届けた後トパーズはいつも通りの平地に戻した。傍から見れば大軍がいきなり沈み忽然と消えたようにしか見えないだろう。これを目撃したメロンルのエキドナに向けての使者は恐ろしい罠にびっくり仰天して引き返し、帝国軍は速やかにテーム川南の砦に向けて撤退して行った。


帝国軍が去った後、トパーズが覆った土を取り除くと泥だらけの10000人の兵士が現れた。一人のある国王を除いて。そして武装解除し丸洗いされた後1000年奴隷となるべく戦略輸送機クジラのセナカに乗せて城砦区に送られていった。


トパーズと近衛を派遣した時からの一連の動きは、帝国をビビらせむんむん砦から上手に引かせる為の一連の計略であったのだ。


トパーズ、そしてガーネットと近衛たちも撤収して帰って行った。むんむん砦には一晩中兵士たちの慟哭が鳴り響いていたという。



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