第137話 マーメイドの秘密①
数日後実行委員会からステージを作ってくれと要請があったので。神殿前広場の向かい側にスタシアム劇場を創った。開閉式の屋根で見下ろす観客席、床チェンジ式でステージを変えて何でも催し物が行えるようになっている。形はコロッセオみたいな感じだ。
そして各区催し物1つ以上出すようにと言う取り決めになった。巫女のやる物とは別に俺たちはクラーケンのイカタコ焼き屋台を出店する事にした。お祭りと言ったら屋台だろ。なんかワクワクするんだよなーあれ。
というわけでお待たせしました!眩しい貝殻ビキニのマーメイド区!
「御使い様、ようこそいらして下さいました。」
「この間でっかい魔石ありがとな、城の尖塔に嵌めて飾らせてもらったよ。夜の宝石って感じで妖しく黒紫色に光り輝いてるよ。」
「私たちの気持ちをお受け取り頂けて恐悦至極にございまする。して今日の御用向きはなんでございましょう?」
「今日はクラーケンを狩りに来たんだよ。エリス神殿祭あるだろ。あれでイカタコ焼き店を出店するつもりなんでな。」
「左様でございましたか・・。」
「ん?どうしたマリアンヌ、浮かない顔をしているな。」
マリアンヌが思いつめた顔をして急に平伏してきた。
「御使い様、私達マーメイド一族にどうかお情けを頂戴できませぬでしょうか?」
「どうしたんだ急に?お情けってシて欲しいってことだろ?詳しく聞かせてみろ。」
「はい、エリス神殿祭は各区のベビーラッシュを祝うお祭りと聞いております。」
「ああ、きっかけはそうだな。」
「このエリス神殿街全体が慶事の時に私どもマーメイドには一人も子が授かりませんので、それが悲しくて・・。」
「各区とも栄養状態が改善されて子供ができやすくなってる筈だが?」
「はい、御使い様のお蔭をもちまして区の者も皆健康優良でございます。・・これから私どもの秘密を打ち明けます故どうか他言なさいませぬよう。」
「大丈夫、他言はしないから言ってごらん。」
「以前お話ししましたが、マーメイドは女だけの種族でございまして卵を産み育てまする。」
「ああ、それは聞いたな。」
「ですが卵を孵して子を産むにはどうしても男性のお種が必要なのです。」
「それはそうだろうな、今まではどうしてたんだ?」
「はい、一族のものが男性と恋に落ちますとその男性を集落に呼びまする。前回は屈強な竜人族の男性でした。その男性の方からマーメイド全員にお種を頂戴するのです。そして受精卵を産み育てるわけです。生まれる子どもはどの種族と交わっても皆マーメイドの女となるのです。」
「なるほどな。マーメイドの謎が解けたよ。だが全員となるとその男は干からびないのか?搾り取って秘密保持の為に殺したりはしないのか?」
「集落に招き一度にではなく長い月日をかけてお種を頂戴します。その男性は今代にとっては夫に当たり次代のものにとっては親に当たります。殺したりは致しません。秘密保持の為集落からは出る事は出来ませぬが、集落を挙げて丁重におもてなしして生涯不自由はさせませぬ。そして自然に臨終を迎えて頂きまする。」
マーメイドの問題は複雑だな。俺は腕を組んで考え込んだ。
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