第124話 使者ペリドット②

綺麗な砂浜には直径10mはあろうかと言う石と言うにはあまりに大きすぎる大岩の様な魔石があった。太陽に反射し透明感のある黒紫色の宝石が怪しく輝いている。マーメイドたちがえっちらおっちら海を泳いで陸まで運んできたのだ。沖ではマーメイドたちが総出でリバイアサンの死骸に群がって解体していた。


「ペリドット様、リバイアサンの魔石をどうぞ御使い様にお持ちください。」

「良いのでございますか?要塞が倒したものは全てマーメイドのものにして良いとソウシ様は仰ってございますが?」


「御使い様からこれほどの御寵愛を頂き、その上に胡坐をかいていてはマーメイドは女の武器を利用した性悪な種族とのそしりを受けてしまいます。リバイアサンはめったに現われぬ大物です故、御使い様に是非とも最高純度の魔石をお見せ頂きたく思いまする。」

「わかりましてございます。ソウシ様にマーメイドのお心をお伝えしますでございます。」

「あり難き幸せにございます。ペリドット様。」


口を開けたまま涎をたらしぼーっとしているワ―レン共和国の使者を馬車にかつぎ入れて一行はワ―レン共和国に向かった。



ワ―レン共和国は共和制をしいていて首相は選挙で選ばれる、首相が各大臣を任命する政治体系であった。従って王国や帝国ほど格式ばってはいない。ワ―レン共和国の主都は港町であった。


「私はエリス神殿街のソウシ様の使者でどざいましてペリドットと申します。」

「いや、すぐに返礼の使者を送って下さるとは恐縮です。私は首相のウミヤマと言う者です。どうぞおかけください。」

「失礼致しまする。こちらは贈り物の目録にございます。お目を通しお納めくださいますよう。」


目録に目を通す首相は脂汗を垂らしている。


「いや、このような大量に贈り物の返礼を頂いてはかえって当ワ―レン共和国が恥じ入るばかりです。」

「こちらは小さいので一つだけ参考にお持ちしました魔石でございます。」


そこにはざぶとんみたいなクッションの上に50センチ大の綺麗な魔石が鎮座していた。


「これで小さいですと!?」

「はいでございます。こちらはホーリーグリフォンの魔石でございまして、純度が高く輝きも綺麗でしたので小ぶりながらお持ちしましたのでございます。如何でしょうか?」

「ホーリーグリフォンですと!?」

「左様にございます。」

「聖属性を有し聖鳥との噂もあるあのホーリーグリフォンですか?」

「左様でございます。」


同席していた居並ぶ閣僚大臣たちがざわめきだした。首相はちょっと失礼しますと言って各大臣を集めはじっこでヒソヒソしだした。



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