第125話 使者ペリドット③

首相はちょっと失礼しますと言って大臣たちとヒソヒソと協議をしている。


首相

「どうする?大森林の経済力がこれほどとは思わなかった。」

外務大臣

「ですから首相、友好だの国交だのと回りくどい事をせず、最初からエリス神殿街の傘下に入るべきだと申し上げたではありませんか。」

環境大臣

「私は先日アシヤ区に視察に出張したのですが、市中は一切の汚物臭が無いのですぞ?自国に帰ってきて鼻をつまみましたよ。恥かしくて情けない。我が国も下水施設を設置してもらわねば息が出来なくなりますぞ。」

財務大臣

「あの大陸一と言ってはばからぬ貧乏国王だったアシヤ国王が、おろしたてのスーツですよ?おろしたての!ああ我が国も早くあやかりたいものです。」

厚生大臣

「あのペリドットという方は薬師なのではないですかな?我が国の抱えている悩みを相談しては如何ですかな?」

首相

「ああもう、エリス神殿街に参加を申し出て良いかな諸君?」

「「「良いから早くして下さいよ!首相。」」」



「使者どの、お待たせして済みません。」

「いいえでございます。」


「あ、あのですな。ペリドット殿。我がワ―レン共和国もエリス神殿街の傘下に加えて頂きたいのですが・・。」

「構わないのでございます。私はソウシ様より一切を任されこちらに赴きましたのでございます。」

「「「有難うございます!エリス様のお導きに感謝を!」」」


「区長さんに一つだけお願いがあるのでございます。」

「な、なんでしょうか?」

「エリス様に仕えるうら若き乙女を1名巫女としてエリス神殿に向かわせて頂きたいのでございます。」

「我が国、いやもう区ですが、国民いや区民選挙で巫女を選出しますので少しお時間を頂けないでしょうか?」

「大丈夫でございます。」


「ところでペリドット様は薬師でございましょうか?」

「はいでございます。私は多少薬の心得がございます。」」

「今、船乗りたちの多くが謎の不調を訴えておりまして、宜しければ診て頂けないかと。」

「それはお困りでございましょう。今から診に行くでございます。」



「これは壊血病でございます。」

「カイケツビョウ?」


「ビタミンC欠乏症に起こる病気でございます。」

「ビタミンシイ?」


「新鮮な野菜や果物が不足して起こる病気でございます。長期的には、大森林産の果物や野菜はビタミンCを始め栄養豊富でございますゆえ、各区の野菜や果物をワ―レン区の海産物などと取り引きすれば良いかと思われます。」

「なるほど、野菜や果物の不足ですか。」


「取りあえず私がCMAXと言うお薬を調合しておきますので、後で取りに来てくださいませんか。」

「お薬の調合までして頂きありがとうございます。ペリドット様。」


ペリドットはワ―レン区の壊血病を解決して帰ってきた。

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