第80話 謎の薬とは①

時は戻ってお城の中。


「ソウシ様、お薬の分析結果が出ましてございます。」

「ペリドット、それは一体何の薬なんだ?」

「主成分はGのカプセルにてございます。そこに幻惑蝙蝠の糞を混ぜ込み味付けに少々の甘味料、少々のハーブを混ぜ固めたものにございます。」

「うへえ、Gってあれか?こっくろーちの事か?それに蝙蝠のフンだと?」

「さようにございます。ソウシ様。」


「それでこの薬にはどんな効果があるんだ?」

「Gのカプセルには脳に寄生する寄生虫の卵が含まれております。通常の寄生虫は脳関門を突破できないのですが、突破できるように改造されてございます。そして寄生虫は脳に寄生すると体を動かす神経を乗っ取ります。寄生された宿主は寄生虫の意のままに行動するようになります。つまり寄生虫の養分を捜し歩くゾンビのような状態になるのです。そこで幻惑蝙蝠の糞です。この糞には意識を混濁させ幻覚を見せる効果がございまして、人は勿論寄生虫の意識をも奪います。その間に術者が寄生虫を操るのです。すると術者の意のままに動く人間が出来上がると言う訳です。甘味料とハーブは薬効は無く味と臭いを誤魔化すために過ぎないのでございます。」


「なんだって?とんでもない薬だな!ていうかその聖女やべえな。」

「はいでございます。寄生虫を改造する事は普通の人間には出来ません。恐らくは魔女の秘術か何かでございましょう。」


「ダイヤモンド、聖女を捕えて正解だ、良くやった偉いぞ。」

「・・・はい。・・ありがとうございます。ソウシ様。」


無表情を装ってはいるが、ダイヤモンドの口元がユルユルに緩んでいる。褒められて相当嬉しいらしい。


「ペリドット、この薬の感染力はいかほどだ?解毒方法はあるのか?」

「人×人の直接感染はございません、寄生虫が爆発的に増えると共倒れで死滅するからです。一匹一匹細く長く宿主から養分をとりまして、死ぬ前に宿主の便と共に出てきます。Gがそれを食べGのカプセルに卵を残すのです。その卵を経口摂取しま・・。」

「ちょっとまて!聞いてるだけで気持ち悪くなってきた。アリス!」

「はい、ソウシ様。どうぞご存分に。」


俺は無我夢中でアリスに飛びついた。アリスが両手を広げ俺の頭を愛おしそうに抱え込む、俺はアリスの首筋に顔をうずめてくんかくんかしまくった。スーハ―スーハ―アリスのフローラルな香りに包まれて・・ああ~生き返る。





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