第118話 勇者一行の来訪

そんなこんなで亜人を分類し直してアリスといちゃいちゃ戯れて過ごしていたある日。アメシストが俺の所にやってきた。


「ソウシ様、勇者と名乗る一行が訪ねてまいりました。如何なさいますか?」

「会わん。」

「はい、畏まりました。ソウシ様。」


おわり。



と言うわけにもいかなくて、アシヤ区長が泣きついてきた。連合本部から勇者を歓迎するように通達があったのだとか。俺は会うだけ会ってみようと答えた。諸国連合とまだ縁が切れてないらしい。何でも勇者一行は人間国の間では絶大な人気を誇り、勇者を迎えた国は総力を挙げて歓迎するのだとか。実にくだらん。


と言うわけでしつこくまた城にきやがった。

アメシストが紹介する。


「ソウシ様。こちらが勇者担当のラインハルトさん、治癒担当のリリアナさん、賢者担当のデスマグナさん、壁役担当のゴッツさんでございます。」


勇者とかいう若い男は金髪で流し目をして髪を掻き上げると一瞬生え際が頭頂部まで見えるキザったらしい男だった。リリアナとか言う治癒師は濃いめの金髪でボブカットにしているたれ目で少し鼻先が上を向いている若い女だ。デスマグナとか言う賢者の爺さんは骨と皮しかなく、目は落ちくぼみ死霊使いと言った風体だ。壁役のゴッツのおっさんはごっつかった。


「やあ、僕が勇者のラインハルトサ、アリス君と言うのかい?可愛いね。僕専用の性女にならないかい?」

「なりません。」


「他人のうちに来ていきなりナンパか、何しに来たんだお前ら。」

「魔王を倒す僕らに人類は支援しなければならないのサ。この街は潤ってるからさぞや盛大に歓迎してくれるのだろう?」


「新手の物乞いか。握り飯でもくれてやってお帰り頂け。」

「いえいえ、私たちは物乞いではありませんよ。人類の敵である強大な魔王を倒す為に正式に教会から任命された本物の勇者一行ですよ。」


「お前らどこからどう来た?」

「帝国に南の中央山脈にあるゴルドステ教会本部からですよ。お披露目に帝国国内、そして東の諸国連合を順次回って南のワ―レン王国の方から来ました。」


「そうか、帝国から西に行けば済むものを随分と遠回りをしたな、ならここから北西に真っ直ぐ行といい、街道が出来ているから魔族の砦に早く着けるぞ。」

「ちょっと待ってくれたまえ、帝国をはじめ諸国が歓迎しているこの僕たちを無碍にしていいのかい?」


「人類の危機で魔王を倒すんだろう?だったらお引止めしたらそれこそ人類に恨まれてしまうな。こんなところで道草喰ってないでさっさと行け。」


「その為の軍資金と歓・・。」

「しない。」


「どうしてですか?私たちはゴルドステ教会から人類の光として選ばれたんですよ?」

「そのゴルドステ教が嫌いだから歓迎しない。わかったら帰れ。」


「いいサ、街の者たちはきっと大歓迎してくれるサ。こんなへそ曲がりの分からず屋ほっといて行こう、リリアナ。」

「はい。」


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