第119話 勇者一行サイド
すげなくあしらわれた勇者一行は城から追い出されるように出てきた、歩きながらアキンドのデパート商館前に来た。
「全くあいつなんなのサ!僕たちを歓迎しない国などどこにも無いと言うのに!」
「まあまあラインハルトよ、怒るでないぞよ。ここはつい最近まで何もない未開の地だったと聞く、勇者など見た事も聞いたことも無いのじゃろうて。猿には知恵を授ける所から始めなければならぬのう。フオッフオッフオッ。」
「そして可愛いあの子もなんなのサ!僕に惚れない女などこの世に居ないと言うのに!」
「そうですか?私も別にラインハルトさんに惚れては居ませんけど?」
「なんてこと言うんだ君は!勇者に惚れないなんて神への冒・・。」
「おいラインハルト、女じゃ腹は膨れんぞ。ここで飯にしよう。一番上の階が高級レストランになっているらしい。」
「ゴッツは食い気ばかりじゃのう。筋肉だけではなく少しは知恵を付けたらどうじゃ。フオッフオッフオッ。」
「爺さん、腹が減っては旅は出来ん。まずは腹ごしらえだ。がはは。」
「行きましょうラインハルトさん。」
「そうだな、美味しいのでも食べて鬱憤を晴らすのサ。」
エレベーターに初めて乗る勇者一行。
「なんだこのゴンドラ?縦に動いているのサ!」
「儂もこんなのは初めて見るのう。仕掛けはなんじゃろな?」
チーン!
「こちらが最上階展望レストランでございます。」
エレベーターガールがにっこりと笑って送り出してくれる。ラインハルトはウインクで返して、そしてレストランへ。案内されて席に着くとリス獣人のウエイトレスがやってくる。
「ご注文はお決まりですか?」
「僕は勇者だ、何でもじゃんじゃん持って来ると良いのサ。君可愛いね。僕の愛じ・・。」
「畏まりました、少々お待ちください。」
「早く美味い飯が食いたいぞ、がはは。」
「ここ、とても眺めが良いですね。」
「最上階だそうじゃからの。フオッフオッフオッ。」
◇
「こちらエリス神殿街特製の満漢全席100品でございます。ごゆっくりどうぞ~。」
「これは下手な宮中晩餐より美味いのサ。こんなに美味くてなんなのサ。」
「美味しいですね。このプルプルした白いのがとっても。」
「儂はそんなに喰えんからの、ゴッツが食べてよいぞ。フオッフオッフオッ。」
「おう、もらうぞ。100品もあってどれもうまいな。がはは。」
ゆっくりと満漢全席100品を楽しむ一行であった。満漢はこの世界にはないが、俺が特別豪華な御馳走と言う意味で使っていたらアキンドが真似して商売に使い出したのだ。
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