第145話 武闘大会の計画②


冒険者ギルドエリス神殿支部に来た。冒険者ギルドの活動自体は禁じている訳ではない、悪さをしなければ良いだけだ。アシヤと違ってギルドの中は別に臭くはない、酒場兼用なので酒の匂いはするが常識の範囲内だ。エリス神殿街の建物はすごく清潔に保たれて居て臭い所は無いのだ。


カランカラ~ン。


「邪魔するぞ。」

「これは御使い様。ギルド長を呼んできます。」

「いい、用件だけ言ったらすぐ帰る。かくかく云々で武闘大会を開く事になったから各所に通達をしておいてくれ。」

「わかりました。」


帰ろうとしたその時、奥のテーブルから声がかった。テンガロンハットを被ったカウボーイみたいな恰好の男だ。


「スゲェ貫禄だな兄さん。」

「誰だ?」

「お前さんが御使い様なんだろう?」

「誰だと聞いている。」

「御使い様、その方はS級冒険者パーティ“ダイヤのエースがとまらない”のリーダーで双剣のスペードという方です。」

「プフそうか、俺に何の用だ?」

「今、武闘大会を開くとか聞こえたんだが?」

「そうだ、受け付けは商工ギルドが行っている。」

「すこぶる退屈だったんで、オレも出たいと思ってねぇ。」

「構わない、武闘大会に求めるのは武力のみ。」

「じゃあすげえ優勝賞品期待してるぜぇ、御使い様さんよ。」


カランカラ~ン。


ブフッヒーヒッヒッあーっははははっ。ぜーはーぜーはー、なんだあのふざけたパーティ名は。あー腹いてえ。そうか賞品が必要だな。賞金と何か物が良いな。何がいいかね。斜に構えてたけどいい事教えてくれたなあの男。プッ


城に戻ってアリスに相談する。


「見える範囲一武闘大会の賞品は何がいいかなアリス?」

「そうですね、武闘会ならではと言うと武具とかでしょうか。」

「そうか武具な、武器だと使えない人が出てくるから、防具がいいか?」

「防具なら、中央山脈南のふもとにドワーフ鍛冶集団が居りますよ。」

「リアの世界樹のもっと北の方だろ、けっこう遠いな。行くのが面倒だし俺が創った方が早くないか?」

「ソウシ様のお創りになる防具では性能が良すぎて下手をすれば争乱の火種になってしまいますよ。巫女服ですら聖衣と呼ばれているのですから。」

「え?そんなの初耳だけど?」

「エリス神殿の巫女しか着る事を許されない聖なる衣と呼ばれ、若い女性達の憧れの的になっておりますよ。」

「へえ、じゃドワーフのところに行って防具創ってもらうか。」

「それが良いです。ドワーフは世界最高の技術を持ってますから十分でしょう。」



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