第75話 チャンスは逃さない

いけないいけない、俺としたことが。チャンスを逃したら一生の不覚だった。


「ガーネット、屈辱的な感じでくっ殺せって言いながらあいつを討伐してみて。」

「はっ、ソウシ様。畏まりました。」


「卑しい豚め、私を犯すなら犯せ、だが魂までは穢させはせぬ、くっ、殺せ!さあ、早く私を蹂躙するがいいゲス豚めっ、くっころせえええ!」


ガーネットは自分の身体を自己抱きして震わせて、涙をにじませキッと睨みつけながらオークキングとか言う大きい豚の魔物を切り刻んでいった。イイ!凄く良いぞガーネット!この子は凛とした気品がありノリも良く演技も上手いのだ。


「あばばばばばブヒッ!台詞と態度逆だろブヒイイイッ!」


醜悪な豚は最後の断末魔の悲鳴を残しあっという間に肉片に変わった。凛々しい女騎士のくっころ頂きました!ミッションコンプリート!超嬉しいご褒美だった♪余は満足じゃ。


「あー、ルビー、汚いから汚物は消毒で。」

「ハッ、ソウシ様。ファイアートルネード!」


ルビーが魔法を唱えると炎の竜巻が肉片を纏めて跡形もなく焼き払った。くるくる回る高級掃除機みたいだ。汚い豚だし疫病でも流行ったら大変だからな、消毒は大事だよ、うん。


軍の最後尾に居た豚獣人の部隊は、もはやこれまでと悟って我先にと逃げ出した。


「このゲス豚どもめ。何処までも汚いやつらだ。トパーズ!」

「あい、ソウシ様。アリジゴク、発動!」


トパーズが罠を発動すると豚獣人の残党は巨大な蟻地獄に包まれた。這い出そうとすればするほど砂が崩れてすり鉢状の中央に戻される。トパーズが用意した例の罠だ。豚だからさしずめ豚地獄だな。


「ルビー、醜い豚に報いを。じっくりと最大の苦痛を味あわせてやれ。」

「ハッ、ソウシ様。ヘルファイアー!とろ火。」


ルビーはヘルファイヤー(地獄の業火とろ火バージョン)を唱えた。アリジゴクの周囲を業火が渦巻く、直火にはならず遠火で豚をじっくりと時間をかけて焼き上げて終いには消し炭にして行く。アリジゴクの中は文字通り地獄さながらの阿鼻叫喚の坩堝と化した。極悪非道な豚獣人、いやもはや人ではないモンスターだ。相応の報いを受けるがいい。


「ここに居ない豚どもも逃すな。ルビー、パールの映像を元に豚の里を壊滅させろ。」

「ハッ、ソウシ様。映像と座標をリンクしました、メテオレイン!」


ルビーが大きなルビーの嵌まった杖を天に向けると、空気抵抗の摩擦熱で溶けて光り輝く隕石が空から遠くの地に降り注ぐ。きのこ雲が地平線の彼方に見える。あそこが豚獣人の集落なのだろう。パールの映像で確認するとそこには巨大なクレーターが出来ていた。


この日を境に豚獣人と言う種族はこの世界から消滅した。


エリス様、ご懸念の地上にはびこるモンスターを排除しました。これでいいんですよね?


はい、私の為に頑張ってくださってありがとう、ソウシさん。


エリス様の慈愛のこもった声が聞こえた気がした。


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