第134話 連合の要請
商工ギルドの申請があった頃、同時に冒険者ギルドからの申請もあった。アシヤ区の人攫いの巣窟と化していた悪徳冒険者ギルドは俺がつぶしたようなものだ。それで良くここエリス神殿街に出す気になったと思うが、表向きの話しでは各支部は独立採算制でギルド全体とは無関係なんだとさ。
何故許可したかと言うと下手に地下に潜られてマフィア化して悪さされるより監視や取り締まりがしやすいからだ。当然パールとラピスラズリの監視対象のリストに入っている。俺の居た日本でも、悪の組織でございと堂々と看板を掲げるやくざが警察というか政治的に容認されていたのはこのためである。
そんな折、帝国の出兵の動きがようやく連合に知れたのだった。連合各国に出兵や支援要請が届く。エリス神殿街の中の3区にもそれが届いた。1つはアシヤ区、1つはワ―レン区。そしてもう一つはオタカ区である。前述の2区は区長が規定通り兵站の支援を行った。
問題はオタカ区である。
アメシストがファイルを片手にやってきて俺に差し出した。
「ソウシ様、連合よりオタカ区に支援要請が届いていると行政官より報告が来ております。内容はこちらになります。」
「兵站の負担が旧オタカ王国の時の100倍だと?なんだこのふざけた支援要請は。」
「負担金額は各国ともだいたい税収の1%相当ですから、旧オタカ王国の場合ですと100%の負担金額になります。」
「連合はバカしかおらんのか?」
「はい。諸国連合は盟主にオ-モノブリッツ国王、副盟主にコモノシューマッハ国王、前線指揮にトッパン国王、兵站統括にエキドナ国王と言う構成となっております。ちなみに帝国の指揮官はメロンル中将だそうです。」
「名前でだいたいわかった。な?アリス。」
「クスクス、そうですね。ソウシ様。」
「エキドナって使者寄越して来たとこだろ?こいつがこのふざけた支援要請の黒幕だな。だがまあこっちに矛先向けてくれるならばアシヤ区長がいびられなくなって良かったと思うわ。アメシスト、オタカ区からは盟約通りの支援はするが、これ以上ネチネチ五月蠅いようなら連合から脱退すると伝えろ。」
「はい、畏まりました。ソウシ様。」
アメシストは一礼して去って行った。
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