第52話 パールとクロサメの報告
翌朝、朝食前にパールが俺の所にやってきた。
「おはようございますですの。ソウシ様。報告がありますの。」
「パールか、おはよう。何かあったか?」
「ソウシ様、昨夜豚獣人集落に動きがありましたの。」
「ほう動き出したか、どう動いたんだ?」
「豚集落のリーダーらしき豚獣人が、大勢を引き連れ集落を出立し東に向かいましたの。」
「それが本体と見ていいな。パール、そのリーダー率いる隊を追跡監視しろ。それと同時に真珠玉からの映像を逐一ドールハウスのモニターに転送だ。」
「はい、了解ですの。」
「豚どもめ、何を企んでいるのやら。獅子獣人の方は動きはあったか?」
「まだ無いですの。」
◇
朝食後、アリスがお着替えしてやってきた。もふもふバニーさんドレスだ。頭にうさみみカチューシャを付けている。俺はぽんぽんと膝を叩きアリスを招きよせる。アリスはちょこんと座りお目めパッチリにして俺の方を向く。真っ白なふわふわの毛並のドレスで、きゅぴぃを抱いている気分だ。とてもさわり心地が良いので無意識にアリスの体を撫でまわしていた。
「ソウシ様ぁ。くすぐったいですぅ。」
アリスは俺の膝の上で頬を赤らめ身をちょこちょこよじっている。小刻みに動く小動物みたいだ。きゅっと抱きしめるとアリスは動かなくなる。緩めると小刻みに動く。アリスもふかわいい。
「よし、今日は兎獣人の所に行こうか。」
「はい、ソウシ様。」
「ソウシ様、クロサメ病院から通信が入っております。」
アメシストがメガネクイッしながら通信機を渡してきた。
「どうしたクロサメ?」
「マスター、最近やたら怪我人が多く来てな、人手が足りねえのよ。」
「なんでも西の方で戦争があったらしいぞ、多分そのせいで負傷者が流れてきているんだろう。」
「ああ、ワシもそれ患者から聞いたな。病院でけえからベッドは足りるんだが、いかんせん人手がよう。」
「わかった、何か要望はあるか?」
「大学病院を追われた腕のいい外科医でな、絶海の孤島に飛ばされたと言う悲運な医者でたのまあ。」
「ああ、頼りなさげなニヤけ面の医者だな?後は看護師10名ほどつける、それでいいか?」
「それだそれ、頼むわマスター。」
「直ぐ送るから待ってろ。病院は頼んだぞ。」
アメシストに通信機を返すと、俺はドールクリエイトのスキルで医者1名と看護師10名のドールを創造しクロサメ病院に送った。
その後おにぎりのお弁当を用意して、白いかぼちゃの馬車で兎獣人村へ出発した。お供はガーネットとアクアマリンだ。街道も整備されているので快適だ。
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