第51話 緑のレンジャー

屋敷の中に入ると昼の食事が用意されていた。


「「「お食事の用意が出来ました。ソウシ様。アリス様。」」」

「うん、おなかペコペコだ。今日は何かな?」

「はっ、今朝がた南のマーメイド区より届いたマグロづくしでございます。」

「ほう、赤身に中トロに大トロ、炙りトロ、鉄火巻きに叩きの軍艦巻きもあるな、どれどれ。」

「この本マグロ美味しいですね、ソウシ様。」

「うん、俺は本マグロと海苔が大好きなんだ、アリスもいっぱい食べろ。」

「はい、海苔があればおにぎりとかお弁当の幅も広がり色々出来ますしね。」

「そうだな、今度お弁当持ってどこかに出かけような。アリス。」

「はい、楽しみです。ソウシ様。」


南のマーメイド区に創った海苔とマグロの養殖場でとれた本マグロは、天然ものに引けを取らない、いや天然もの以上の美味しさだった。異世界はまず海水が綺麗でそこから違うからな。天日干しの海苔も風味が一段と違って美味しかった。



昼食後、俺はアリスを隣にお茶を飲みながら、エメラルドを呼んだ。


「エメラルドは居るか?」

「はーイ、ここにおりますヨ。ソウシ様。」

「お前はレンジャー適正があり、森の中は大得意だったな?」

「はーイ、そうですネ。とくいでス。」

「今日から大森林を巡回してくれ、と言っても森は広大だ、重点ポイントはエリス神殿街から真西のこの兎獣人村だ。ここを起点に見回りをして何か異変があればお前の判断で対処しろ。」

「はーイ。かしこまりましタ。ソウシ様。」

「パールと位置情報をリンクさせ連携して事に当たれ。頼んだぞ。」

「了解でス。見回りいってまいりまス。」


スレンダーなエメラルドは葉っぱドレス風のメイド服を翻し、緑の髪をたなびかせて出て行った。葉っぱドレスとは言うが実物の葉っぱで出来ている訳ではない、淡い緑色のドレスに葉っぱ風の飾りが襟、袖、胸、裾にお洒落に入っているのだ。森林迷彩柄みたいな物を想像してもらっては困るよ諸君。ドールを着飾る衣装に一切の妥協を許さないこの俺が、あんなダサい木の葉マンみたいなものは創らない。


ともあれ森の中でエメラルドの隠密性にかなうものは居まい。


その日の午後はまったりとアリスといちゃいちゃを堪能して、帰ってきたきゅぴぃをもふもふして、お風呂に入ってエリス様にお祈りして寝た。

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