第50話 身代りドール
屋敷に帰るとアキンドと別れた。これからリゾートホテルに妻子を迎えに行ってエルフの里に向かうと言う。
「ほなだんさん、ワテはこれで失礼しますわ。」
「ああ、気を付けろよ。」
「白エルフさんとこで護衛雇わせてもらいまっさかい大丈夫でっせ。ワテの事を首長ごうして待っててくれる小動物系獣人さんとこ回らなあきまへん。」
「そうか、ならこれを持って行くといい。」
俺はドールクリエイトのスキルで身代りドールを3つ創ってアキンドに手渡した。アキンドとその妻子に似せてあるキーホルサーサイズの小さなフィギュアだ。アキンドらしく手もみしている姿を型取っている。奥さん甘にんじんクッキーの箱を抱えて食べ、娘さんはきゅぴぃを抱っこしている姿だ。
形は別に似せる必要はなくただの木偶でもいいのだが、そこは俺の人形師としてのプライドが許さない。
「これワテらでっか?えろう精巧にできておまんな。ワテの商人魂がムクムクとわいてきましたでぇ。聖女はんや聖獣はんのかわいい人形やったら飛ぶように売れまっせ。」
「それは身代りドールと言ってな、売りものじゃない。1度だけ所持者の身代りになって壊れてくれるドールなんだ。誰がどの身代りドールを持っていても構わない、念のためお守り代わりに肌身離さず持っていろ。情報提供の礼だと思ってくれ。」
「御使い様のだんさん、ワテらの身を案じてこれほどの宝をくださるんでっか。大事に持たさせてもらいますわ、ほんまにありがとさんどす。」
「気にするな、情報の礼だと言っただろ。それにエリス神殿街にとって流通は大事だ、商人に死なれちゃ困るだけさ。」
「だんさん意外とツンデレでおまんな?」
「誰がツンデレだ!?」
「だんさんが怒りはったで、聖女はん~助けてておくんなはれ~。」
「アキンドまてこら!」
「まあまあ、お優しいソウシ様、素敵です。」
にこにこしながらアリスに腕を抱きとめられてしまい、アキンドにおどけながら逃げられてしまった。まあいい、怪しげな関西弁の商人だが憎めないやつだ。
抱きとめられた方の腕にアリスの体温を感じる。ふにふにととても柔らかい。アリスの方を振り向き絹のようなサラサラの金色の髪を撫でる。アリスは俺の腕を離さずに更に絡め身を預けて頬ずりしてくる。アリスやわらかわいい。
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