第53話 うさぎ獣人村
兎獣人村は柵で周囲を囲っているところはエルフ村と同じだが、家々が小さかった。ウサギ小屋とはよく言ったものだ。畑も小さく点在するだけで、牧歌的と言うよりはひなびた寒村と言った感じだ。
中央広場について馬車を降りると、族長らしきものが出てきた。禿げ頭のじいさんだ。それはいいのだが頭の上にうさみみがあるのだ。ププッ、つるっ禿げ頭にうさみみとかおかしすぎるwだめだ吹き出しそうでもう無理。笑ったら悪いので俺がなるべく見ないようにわなわなしていると向こうから話しかけてきた。
「これはこれは御使い様、聖女様。ようこそお越しくださいました。私めはこの村の村長のバニッシュと申します。」
「ぷっクク、んっん。俺達のことを知っているのか?」
「はい、サカイ殿や他の村の者からも聞こえてきております。エリス神殿街の傘下に入らせて頂きたく、今日にでも孫娘のこの子を連れてお参りに伺う所存でおりました。」
「そうか丁度良かったな。この子とは?」
「私バニラと言いますぴょん。エリス様の巫女になりたいですぴょん。」
13、4歳くらいの中学生ぐらいに見えるうさみみの女の子が老人の後ろからぴょっこり出てきた。髪の毛は薄桃色で身体は細く、色白で綺麗な顔立ちをしている。アリスによると兎獣人は穏やかな性格で皆容姿に優れているそうだ。確かに爺さんも美形だ、つる禿げな上にうさみみだから余計におかしいのだが。
「バニラと言うのか、エリス神殿街に帰る時に一緒に来るか?」
「御使い様、お願いしますぴょん。」
「かわいい巫女服も用意しよう。先輩巫女もマスコットも居て楽しいぞ。」
「巫女になれるの楽しみで嬉しいですぴょん。」
「そうだな、まずは村長、いや今後は区長だな。少しの区の農地を拡張してもいいか?」
「はい、御使い様のお力のことは聞いておりますのでよろしくお願いします。」
村の西側に甘ニンジンファーム、南側にバニーレタスファームを創るろう。甘にんじんは人気の野菜で糖度が高くエリス神殿のクッキーの原料にもなっている需要も高い作物だ。バニーレタスは葉が二股でうさみみの形をしているレタスで、ビタミン豊富な葉物野菜としてこちらも需要がある。よし、いくか。
「ドールクリエイト!ドールハウス!農園×2!」MP140000。
ドドドーーン!ドドドドーーン!
2つの広大な農園が南と西側に現れた。
「これでいいか区長?兎獣人は野菜作りに向いてると思ったんだが。」
「ははーっ。御使い様に下賜された農園大事にさせて頂きます。」
俺がくるりと振り返ると区長以下兎獣人たちが平伏していた。まだやるのこれ?
その後おにぎりのお弁当をバニラも誘って丘の上で食べ、夕刻には神殿街に戻ってきた。
◇
ところで、獣人てケモ耳があるだろう?では人間の顔の位置にある耳はどうなっているのか?のっぺらぼうなのか?という長年気になってたことがハゲ頭の区長によって判明した。
人間の顔の位置に耳はあった!普通の人間の耳と同じ形だ。じゃあ頭の上の獣耳はなんなのか?と言う謎が更に深まったのであった。
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