第139話 エリス神殿祭①
マーメイドとムチュゥして帰ってきた俺は、重大な事実に気が付いた。キスだけだから気が付かなかったが、マーメイドのみんなに種を与えたのは俺だ。つまり次の代のマーメイドは皆俺の娘になるんだよな。娘可愛さに過保護になっちゃいそうだ。その辺をアリスに聞いてみると。
「アリス、マーメイドの次生まれてくる子は俺の子なんだよな?」
「血縁的にはそうです。ですがマーメイドの父親は必ず他種族になる為、マーメイドは全ての子育て教育一切を母親一人で行います。父親が構うとマーメイド種としておかしくなるからです。それが仕来りですので、ソウシ様は一切お構いくださいませんように。」
「種付けただけとかなんか馬みたいだな。むなしい。凹むわー。」
「ソウシ様、自分の子供と思うからいけないのです。マーメイド一族の絶滅の危機から救い種を保存した。その崇高なお役目を全うしたのですよ。ソウシ様は。」
「そうか、そうだよな。あの時俺はマーメイドがこの世界から滅ぶのが見たくない、それだけしか考えていなかった。」
「はい、私も同じ気持ちでした。ソウシ様にはアリスがついています。何時までも何時までもずっとずっとずーっとお側に居ますから。ね?」
「アリス。」
「ソウシ様。」
俺たちはぎゅっとぎゅーっと強く抱きしめ合った。俺にはこんなにもかわいいアリスが居るのだ。凹む必要などなかった。アリスを夢中になって可愛がった。
◇
エリス神殿祭の準備をする。メイドール総出でクラーケンの下ごしらえをする。出し物はタコ焼きとイカ焼きだ。クラーケンはどちらの味もする美味しい魔物でお得感がある。カリふわのタコ焼きも好きだが俺はイカ焼きの醤油の焦げる香りが好きだ。客を呼ぶには匂いが大事なのだ。俺は秘伝の醤油だれを調合している。明日はいよいよエリス神殿祭だ。縁日とかお祭りってワクワクするんだよな。
ヒュヒューンドォーン!ヒュードドーン!ヒュードドドーン!
エリス神殿祭開催の合図の花火が聞こえてきた。花火は全自動タイマーつきの打ち上げ花火セットを創造し実行委員会に渡してあるのだ。
「さあ、さあ、クラーケンのタコ焼きイカ焼きだよー、寄ってらっしゃい見てらっしゃいー。おいしいよー。そこの兄さん食べて行きなね。そっちの姉さんおまけするよー。」
と俺はうろ覚えの寅さんみたいな口上で客を呼びこんでいた。別に呼びこまなくても飛ぶように売れている。雰囲気の問題である。ウチのメイドールは飛び切り美人揃いなのだ、それが売り子をしているのだから当たり前だ。
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