第19話 ウサギさんのお見舞い
「アリス、昨日のうさぎさんのお見舞いに行こう。」
「はい、ソウシ様。」
アリスとともに診療所に向かう。アリスはさっそくナース服(アリスバージョン)に着替えて俺を楽しませてくれている。お土産のおいしい甘人参も持ってきた。
後ろからガーネットとエメラルドが付いてきている。護衛のつもりなのだろう、残りは留守番で屋敷の事でもしているようだ。
◇
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診療所に入ると、受付にあのドジっ子ナースが居た。待合室にはエルフが数人ちらほら見える。早速治療を受けに来たものが居るようだ。
「ソウシ様、ようこそオカシくださいましたっ。」
「お菓子?」
「お越しでしたぁ。」
「あずさ、俺たちには構わないでいい。ウサギさんの見舞いに来ただけだ。患者を優先しなさい。」
「はい、かしこまりです。」
病室に入るとクロサメがちょうど巡回診察していて居合わせた。
「よぅマスター、このウサギはもう退院させてもいいぜ。厳密にはウサギじゃねえけどな。」
「きゅぴぃ!」
ウサギさんの声はもう元気そうだった。
「クロサメ、ウサギじゃないとはどういうことだ。」
「見ればわかるだろ、本物のウサギは二足歩行などしねえ。」
「きゅぴぃ?」
「確かにウサギっぽくはあるが、よく見るとデフォルメされたぬいぐるみに違い容姿だな。生物ではあるんだよな?」
「ああ、ちゃんと生きてるぜ、マスターの処置のおかげで治りも早い。」
「ソウシ様、きゅぴぃちゃんをお家に連れて帰っても良いでしょうか?」
「名前はきゅぴぃでいいのか?気に入ったようだなアリス。」
「はい。とてもかわいいです。」
「ところでマスター診療報酬の件なんだが。何か方針はあるかい?」
「ああ、そうだな。全くの無償と言うのは問題がある。ただし無い者からはあまり取ってやるな。逆に持つものからはありったけむしり取ってやれ。どうせこの世界ではもぐりの医者だ、点数制など無い。腕のいいところに自然と患者は集まる。」
「イヒヒッ、そう言うと思ったぜマスター。ワシにまかしとけ。」
「一部の者がため込んでいると経済が停滞するからな、吐き出させて世の中に循環させてやれば少しはマシになるだろ。」
アリスが両手を広げるときゅぴぃは胸に飛び込んだ。アリスは両手で抱えるように前向き抱っこしている。絵になるなあ。じっとしているとモフモフぬいぐるみにしか見えない。アリスときゅぴぃの相乗効果でとてつもなくかわいい。
「じゃあこの子は連れて帰るぞクロサメ。」
「あいよ、ショウコ退院の手続きだ。」
「こちらへどうぞ、ソウシ様。」
診療所を出ると何やら神殿の方が騒がしい。行ってみるか。
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