第41話 マーメイドとビキニと要塞①

森を抜けるとそこは真っ白な砂浜だった。大きな弧を書いた入り江になっており波は穏やか。家々を見てみると、青や水色とコーラルピンクのメルヘン柄だ。ホタテみたいな二枚貝の形の窓をしている。さすがに大きな巻貝を家にはしていないようだった。

浜辺では2足歩行で貝殻ビキニをつけた若い女性が砂浜でボールを打ち合い遊んでいる。


「え?アリス、人魚に足があるぞ?何でだ?。」

「はい、マーメイドは陸地でも生活可能なように陸に上がると足が生えます。」

「まあそうか、家に上がるにしても足がないと不便そうだものな。」


などと貝殻ビキニ姿の乙女を眺めていると、海が突然高く盛り上がり大きなイカみたいな化け物が現れた。見える部分だけで優に10mは超えている。浜には海から飛び上がってきたギザギザ歯のピラニアみたいな魚に手足が生えている醜悪な怪物がモリをもって人魚たちを襲い始めた。人魚達はきゃあきゃあ逃げまどっている。


「落ち着けマーメイドたち、こっちに来るんだ!ドールプロテクション!」


とりあえず俺のドールクリエイトスキルの防御結界で人魚たちを囲い守った。


「アリス、何だあのバカでかいイカと足つきピラニアみたいな魚は?」

「はい、大きいイカはクラーケンと言う海の中ではまあまあ強い魔物です、二本足の魚はサハギンと言って集団で人や集落を襲う海賊みたいな魔物です。」

「まあまあね、アクアマリン、パール、討伐せよ!」

「はぁい。」「はいなのです。」


「ほぉーりぃれいん!」


アクアマリンの唱えた広範囲攻撃魔法が、100匹以上は居るサハギンとか言う醜悪な魚の化け物たちをバタバタと倒していった。


「スリープなのです!」


パールが真珠球をかざすと、30mはあろうかという触腕を叩きつけて暴れていたデカいイカは大人しくなってぷか~っと海に浮かんでいる。寝てるんだろう。


「あ、ちょっと待て。足つき魚の方だけ殲滅で。こいつ美味そうなイカだから俺が〆るわ。マネキン!ドールブレイク!アリス。」

「はい、異空間収納。」



「「ソウシ様、サハギン殲滅完了しました。」」

「ご苦労、そなたたち、強く美しく清らかな乙女であったぞ。」

「「あり難き幸せにございます。」」


ようやく落ち着いたらしいマーメイド達が近づいてきた。



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