第103話 国王に会おう③

「アシヤ区長、このゲス芋一派をどうする?5日後に術は解けるぞ。ようするに犯罪者の処遇だ。今ここに区長の判断を問う。」

「1、蝋燭の芯に火をつけて燃やす。」

「2、虎獣人の城砦区の監獄送りにして犯罪奴隷に落とす。」

「3、無罪放免。」

「などと色々あるが、どうする?」


「無罪放免はあり得ません。ご丁寧に蝋燭に芯まで付けて下さったのですから燃やしましょう。市中引き回しの上に衆目監視の中で燃やします。こ奴らに焼かれたトレントの精霊たちを始め、少しは民の恨みが晴れる事でしょう。」

「わかった、一切をアシヤ区長が取り仕切るように。」

「ははーっ、畏まりましてございます。」


「ああ、それと市中にある冒険者ギルドな、アレ人攫いの拠点になってるから取り締まらんとダメだよ。」

「ははっ、不明を恥じ入るばかりでございます。早速に。」


「それから、アリシアと共にその病気の区長の姉も連れて行こう。クロサメ病院は最先端の病院で腕は最高だからきっと治ると思う。その人に一度会おうか。」

「ははーっ、忝くございます。」


件のお姫様は元国王の姉と言うだけあって40過ぎの品の良いおばちゃんだった。さすがの貧乏一家でも床に伏した病人にまでボロは着せてはいなかった。無ければ創ってやろうと思っていたんだけどさ。


先王の娘だから姫には違いないんだよ。正しくお姫様だ。でもなんかこう、何ていうのかな、お姫様ってアリスみたいな若い女の子を想像しちゃうんだよね。王子とかもそうだ、中年の禿げ親父を想像できないんだよね。そんな禿げ中年王子が地球の何処かの国に居たけども。


元王太子?股間の黄ばみくらい自分で洗え。甘えんな。て言うか見ているこっちが恥ずかしいあの白タイツを履く必要も無くなっただろう。俺はあれを履けって言われたら羞恥に悶絶して死ねるから見るのも嫌。


その日俺は上下浄水施設を設置し糞便の臭みを消し衛生状態の改善をする事にした。そして次の日アリシアと病弱の区長の姉を連れてエリス神殿街の城に戻ってきた。区長の姉の病気は筋萎縮性側索硬化症と診断され、放っておけば命が危ない病気だった。クロサメが任せろと言っていたので問題は無かろう。


もんぺ姫は巫女服を非常に喜んで飛び上がってくるくる回っていた。そりゃあお姫様に生まれて来てモンペに手ぬぐいほっかむりじゃかわいそうだ。その辺の農民ですら今どき履いてない様な昔の格好だものな。


ゲスイナー一派は市中引き回しの上5日間をかけてチロチロと燃やされていた。その間にも石を引っ切り無しに投げつけられていたとか。スキルで意識は最後まで保てていたはずだ。民の恨みを買い過ぎたんだな。人を苦しめれば自分もそうなるのは当然だ。


「エリス様の大事な大森林を焼いたモンスターは消滅しましたよ。」


「はい、ありがとうございます。ソウシさん。」


エリス様の声が聞こえた気がした。



これにて3章完結です。お読み頂きありがとうございました。


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