第102話 国王に会おう②
その時ガタンと扉が開き、ギィーッと音を立てて、そしてパタンと倒れた。し~んと気まずい雰囲気が流れる。しかし何もかもボロッちいなこの宮殿は、今にも倒壊しそうだ。後で全部直しといてやるか。
「「ソウシ様、賊の捕縛が完了し、ただ今戻りました。」」
「ルビーにサファイア、ご苦労だったな。」
「「有難うございます、ソウシ様。」」
「俺を誰だと思っている!王国貴族の男爵様だぞ!はやくこの手錠を外せ、冷たくて凍傷になっちまうだろうが!」
「サファイアが凍らせたのか、変えてやってもいいが炎の手鎖になるよ。ルビー。」
「い、いやいい。炎より冷たい方がマシだ!と言うかさっさと解放しろ!平民ずれが男爵の儂に逆らうんじゃねえ、縛り首にするぞ!いや火炙りにしてやる!」
「ピ-ピーギャアギャアと五月蠅えな、パール、ラピスラズリ。映像を見せてやれ。」
「「はいですの。なのです。」」
ゲスイナー一派の悪巧みの一部始終が動画で流れる。宰相以下大臣たちは初めて見るので動揺が激しかった。
「こんなの儂は知らん。でっち上げだ!王様、こいつらを取り押さえてください。嘘つきの詐欺師でございますよ。言うこと聞かないなら借金の利息を増やすぞコラ!」
「ゲスイナー男爵よ、アシヤ王国はお前にまんまと騙され、私たち王家の不明により民は塗炭の苦しみを味わったのだ。嘘の借金など元から無いのだ、従って返す必要もないわ!たった今ゲスイナーの爵位を全て剥奪する!罪状は国家反逆罪とする!」
「よし、国王の処分は聞いたな?ゲスなイモ男爵。」
「スキル蝋人形!灯芯付き!期限5日!」MP500。
ゲスイナーは一瞬で蝋人形と化した。このスキルは文字通り対象を蝋人形にする。中では生きていて見聞きも出来て熱いの痛いのという感覚もある。スキルを解けば元に戻すこともできるのだ。
「アシヤ国王よ・・。」
「いいえ御使い様、私の国王としての務めはゲスイナーの処分で最後にございます。何卒エリス神殿街の傘下に加えて頂きたく存じます。今後はアシヤ区長となって誠心誠意エリス様に仕える事と民を安んじる為に懸命に働きます。何卒何卒お願い致します。」
「そうか、分かった。来るものは迎え入れよう。して巫女となる者はどうする?」
「御使い様、どうか私に御命じ下さい。区長の娘アリシアと申します。」
「もんぺの姫さんか、エリス神殿でかわいい巫女服を着たいか?」
「もう姫ではありません、エリス様の巫女です。ずっと貧乏でお洋服が買ってもらえずに居たもので・・すごく着たいです。」
「そうか、不憫だな。巫女服は特別製でな、着たい人が多すぎて困るほどなんだ。着飾って今までの分を楽しむが良い。」
「はい!有難うございます!御使い様。」
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