第152話 城砦区の仕組
知りたがりの諸君の為に城砦区の事を少し説明しよう。
城砦は砦の要塞部分はマーメイド区のそれと同じだ。城の部分が違って居住性がある、ここに囚人を収容している訳だ。どうやって刑罰を決めているかというと、俺の記憶による日本の刑法を基準にしている、現代だけでなく江戸時代の刑罰も混じっているのはその為だ。これを自動裁判システムに入力しておくとアンドロイド裁判官が囚人を裁いてくれるという仕組みなのだ。刑が決まれば後は実行されるのみ。ぐだぐだ裁判を引き延ばす弁護士も居なければ再審も無い。だが貴族の胸三寸で面白半分に処刑されるのが当たり前なこの世界に置いてはかなり優しい裁判だ。
城砦指令のティガーと副指令のヒョウシロはこの自動裁判システムには関与していない、と言うより出来ないようになっている。
では仕事は何をしているのかというと専ら奴隷の管理である、主にライオンとクロヒョウの獣人だ。起動基地もあるからここから各区へ奴隷を労働力として輸送して貸し出しているのである。貸し出しは無料ではない。その仕事に見合う対価の半額で貸し出される。例えば日当100ゴルド(約一万円)の鉱山労働者ならば50ゴルド経費城砦区もち、泊りがけの仕事ならば経費雇い主持ちで貸し出される。なので奴隷はどこの現場でも引っ張りだこなのだ。同額で倍の労働力が得られるのだから。これが産業を置いてない城砦区の主な収入源となっている。
奴隷にはいじめられない制度があって、労働現場で鞭打ちなどの虐待その他いじめを受けたらば訴える事が出来る。いじめの事実が認定されるといじめた方も犯罪奴隷に落とされるので発生事例は殆んどない。
奴隷の食事は1日2回、朝の仕事前と仕事が終わって戻ってからだ。この世界の食事は朝晩の2回が主流である。他の犯罪奴隷は普通に肉もでるが、ライオンとクロヒョウの奴隷は人肉を貪っていたため追加刑として肉食を禁じられている、その代り大豆などの蛋白源はしっかり供給されている。城砦には日本の刑務所みたく管理栄養士のアンドロイドールが居るのだ。
風呂は大浴場があり毎日入らせられる。不潔な環境は病気の蔓延に繋がるからだ。片目の眼帯軍医が奴隷の定期検診に訪れているので健康状態も問題ない。掃除や洗濯は持ち回りで囚人たちにやらせている。ティナを見ればわかるように奴隷に鞭打って血だらけで汚物まみれでほったらかしにされるのが当たり前の世界ではかなり優しい仕組みだ。
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これにて5章完結です。お楽しみいただけましたか?まだまだ続きますのでよろしくお願い致します。
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