第131話 太古の泉に掛ける橋


その後、リアがわたくしもお礼をと言ってきたのだが、また今度お願いすると言って丁重に断った。病み上がりの女性に無理させるような愚か者ではない。


ディネはここに残ってリアと話してから帰る言うので置いて帰ってきた。女の子同士の砕けた会話が楽しそうだったしな、気晴らしに丁度いいだろう。


湖は広大で迂回するのが割とめんどくさいのでスキルで天橋MP700000。を創造しそれを渡ってショートカットしてきた。橋桁の無い空中に虹のように弧を描く純白の一本橋だ。


我ながら良い出来だ、大森林の恋人向けの観光スポットになるだろう。ディネも湖が賑やかになれば暇もせず嬉しかろう。いや、やきもち焼くかもな。橋の中央で停車して、光り輝く水面や壮大な世界樹などの大森林の景色を眺めながらアリスといちゃいちゃして来たのは言うまでもない。


城に戻ると、メイドール達がお出迎えしてきた。


「「「お帰りなさいませ、ソウシ様、アリス様。」」」

「うん、ただいま。」



「ソウシ様、ワ―レン共和国への使者を果たしてただ今戻りましてございます。」

「ペリドットか、使者ご苦労であった。そなたは美しく淑やかであるな。」

「あり難き幸せにございまする。ソウシ様。こちらはリバイアサンの魔石にございます。マーメイド区よりご寵愛への感謝の意を込めた品にございます。」


「ほう、これは見事な大きさの魔石だな。マーメイドの心としてこれは城の尖塔にでも飾って置こう。」

「それからワ―レン国の首相よりエリス神殿街の傘下に入りたいとの申し出を私の一存にて受けましてございます。」


「それで構わんよ、ワ―レン区も上下水道が欲しいのであろう?」

「御明察の通りでございます。」


「一度清潔を知ったら不潔には戻れぬものだ。特に臭いは鼻についてしまい飯も不味くなる、普段通り過ごせるものではないからな。近いうちに行って創造してやろう。」


「それから船乗りたちに壊血病が蔓延しておりましたので、私の独断で解決しておきましてございます。」

「ペリドットを使者にして正解だったな、良くやってくれた。お風呂に入ってゆるりと休むがよい。」

「はいでございます。ソウシ様。」


ペリドットは一礼してしずしずとお風呂に向かっていった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る