第156話 賢人たち②
腰までありそうな長く白いあごひげを垂らした杖を突いた老人が現れた。何がおかしいのか常にフォッフォッフォと笑っている。
「儂は酔狂と号している者じゃ。御使い様ご機嫌麗しゅう。フォッフォッフォ。」
「トーホーならオタカに居るよ。」
「赤猫の戦いの勝敗を決定づけたあの男を御使い様は登用しなさったのか、よきかなよきかな。フォッフォッフォ。」
「まあ、決定づけたのは確かだが。」
「儂は人物鑑定が趣味でしてな、用いれば天下を取れると保証した大人物が2人居ります。その一人が鳳の雛たるトーホー、もう一人が伏した竜たるメーコーと言う知恵者なのですじゃ。フォッフォッフォ。」
「とられるの間違いじゃないのか?」
「いやいや、儂の目に狂いはないぞよ、今日は御使い様にもう一人の大人物メーコーを紹介しようと思うて来たのじゃよ。なに礼はそれほど要らぬ、リンゴ酒とブドウ酒1年分で良いぞ。フォッフォッフォ。」
「それで、その紹介したい人物とやらはどこに?」
「儂が呼んでも付いて来るような男ではないでの、引きこもって晴れの日は畑を耕し雨の日は書を読み、晴耕雨読の暮らしをしておる。御使い様自ら出向き出廬を乞いなされ。場所はここから東の北の西の南の東の北のこのあたりじゃ。フォッフォッフォ。」
「まあ、気が向いたら訪ねてみよう。」
「儂の推す2人の大人物のどちらか1人でも重く用いれば、天下を手に入れる事も出来ましょうぞ。それでは御使い様。ゆめゆめ忘れるなかれ、フォッフォッフォ。」
酔狂先生は高らかに笑いながら帰って行った。きっちりとリンゴ酒とブドウ酒を1年分届ける約束までして。お年寄りのわがままだからまーいいけど。
「忘れないうちに行っとくか。あんな適当な道案内でも場所解るか?アリス。」
「はい、お任せください。ソウシ様。」
「アリスは優秀だな、じゅあ早速メーコーの所へ行くぞ。」
「「「行ってらっしゃいませ、ソウシ様。」」」
かぼちゃの馬車に揺れられてめぐりめぐってメーコーの庵の近くに到着した。
「これ、そこな童よ、メーコーはどこに居るのかね?」
「先生なら庵にいるよ。」
「案内してくれたらこの甘にんじんクッキーをやろう。」
「わーい。こっちですよ。ついてきてー。」
俺達は子供に案内されて庵に向かった。
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