第34話 ダークエルフの里へ、途中商人が襲われていた②

「そこのお人、後生や、助けておくんなはれ!」

「どうしたんだ?」

「見てわからんか?オークに襲われとんねん。ワテの大事な荷物がああーっ、神さん仏さんお願いや、助けて下さいや~。」

「本当にオークなのか?豚の獣人じゃなくて?」

「そんなんワテに分かるわけないやんか。はよなんとかしてくださいや~。馬車の中にはワテのカミさんと娘がおるんや、殺されてまう~お願いやーっ!」


怪しい関西弁みたいなしゃべり方をする男は泣き出して俺たちを拝んでいる。助けてあげたい、いや助けなければならない。義を見てせざるは勇無きなり。見過ごすことなどできない。奴らが獣人でも知るかあほ。


「アリス、もう我慢ならん。あのクソ豚野郎どもを俺はヤるぞ!」

「それでこそソウシ様です!他人を襲う時点で犯罪者です。ソウシ様の御心のままに。」

「そうとなれば、アメシスト!アクアマリン!賊を討伐せよ。助さん格さんやっておしまいなさい。」

「はい。」「はぁい。」


「サンダーランス!」


アメシストが言うより早くアメシストの紫杖から紫電が走る!紫電は手前のブタから貫通し後ろの二匹をも貫いた。


「ホーリーレイ~!」


アクアマリンが唱えると、馬車に直線状にとりついていたブタ二匹を瞬光線が貫いた。



「「討伐完了いたしました、ソウシ様。」」

「良くやった、アメシスト、アクアマリン。そなたたち、強く美しく、そして可憐であったぞ。」

「「あり難き幸せにございます。」」

「だんさん。ワテを無視しないでおくんなはれ。」

「あんたは?」

「ワテはサカイアキンドと言いましてな、ダークエルフさんとこの里で聞いて、何やらエリス神殿街とかいう新しい街が出来たいうんで向かう所でしたんや。ほんまたすかりましたわ。これはワテのカミさんと娘でっせ。」

「危ない所をお助けいただき有難うございました。」

「あいがとーおいいちゃん、おええちゃん。」

「いやいや、当然の事をしたまでです。俺の名はソウシ。丁度そのエリス神殿からダークエルフの里に向かう所だったのです。こちらはアリス姫。」

「姫だなんてそんな・・・。」

「姫やて!?馬車の豪華さから見て、どこぞのやんごとなき御方なのはわかりまっけど。」

「んっん、おや?お嬢さん頭を怪我しているね、何処かにぶつけたのか?アクアマリン、治してやってくれ。」

「はぁい。ヒ~ル~。」


淡い光に包まれて小さな女の子の怪我はすぐさま治った。


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