第48話 情報伝達①

エリス神殿に行くとマーメイドのマリリンが境内を掃き掃除していた。ダクネはきゅぴぃを頭の上に乗せお菓子を配っている。子供たちに囲まれて大人気だ。

マリリンはコーラルピンクの長い髪の毛を後ろで結っていて、大人しそうな性格も相まって清楚な感じだ。俺たちの姿を見つけると、ほうきを身体の前に隠すように抱え小股でそそと近づいてきた。以前のエルリーナと同じ症状だ。


「御使い様、聖女様、ようこそいらっしゃいました。」

「緊急の用件があってな、エルリーナとダクネにも来るように言ってくれ。俺は中で待たせてもらう。」

「はい、畏まりました。」

「ああ、それとなマリリン。気にしているようだが、その装束は袴と言ってスカートとは違う。自分で捲って見せつけたり、逆立ちして開脚でもしない限りはまず見えないよ。気にすると余計目立つぞ。それにとてもかわいく似合っている。なあアリス?」

「はい、とてもよくお似合いですよ。ソウシ様のお創りになる衣装はどれも素敵です。」

「ほんまかわいいでんな、エリス様の巫女はんは衣装は洗練されとってどなたも綺麗でおまっさかい。ワテもお参りのし甲斐がありますのんや。」


「か、かわいいですか?私ごときが?」

「マリリン、自分を卑下するんじゃない。エリス様の巫女として輝いているよ。」

「は、はい、有難うございます。頑張りますです。あ、今直ぐただ今ただちに呼んでまいります、少々お待ちくださいですはい。」


マリリンは嬉しそうな足取りでテンパりながらもダクネの所に向かって行った。

マーメイドは海で泳ぐとき下半身裸だよな?見えた所で何が恥かしいんだ。とは言わない。そんなデリカシーの欠片も無いあんぽんたんは諸君らには居ないな?


中の休息所でしばらく待っていると、エルリーナとダクネ、マリリンがやってきた。お茶はパールが淹れてくれている。パールは幼い容姿だが出来るメイドールなのである。


「緊急の用件とは何事でございましょうか?御使い様。」

「とりあえずこれを見てくれ。パール映像をこれへ。」

「はいですの。」

「この魔物ですか。これが如何致しましたのでございますか?」

「これオークですよっ、エルリーナ姉さまっ。超きんもっ><」

「私初めて見ました、見るに堪えない醜悪な魔物なんですね。」


「そう思うよな?だがどうやらオークとは違うらしい、これが豚獣人なんだとさ。」

「「「えっ?」」」


3人のエリス神殿巫女は青い顔をして俺の話の続きを待っている。俺は落ち着けと言ってお茶を勧める。無理もない、アリスによるとオークはマーメイドとは逆で男型しかおらず、そっくりな豚獣人も然り。好色で他種族の女を手当たり次第犯す醜悪な魔物で知られている。女の子には恐怖の対象でしかない。


俺は一口お茶をすすり話しを続けた。


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