第30話 診療所のアップグレード①

エリス神殿から戻ってきた。


「「「お帰りなさいませ、ソウシ様、アリス様。」」」

「うん、ただいま。ガーネット、留守中何か変わったことは有ったか?」


ガーネットが凛々しく進み出てきて報告して来た。この子はいつ見てもカッコイイな。くっころが絶対似合うぞ、俺の戦闘メイドールがオーク如きにやられるわけないけどな。


「はっ、診療所のクロサメ殿からの伝言が一件あります。」

「どうした?何か問題でも起きたのか?」

「はっ、診療自体は順調だそうです。ですが患者数が予想を上回り診療所のベッド数が不足してしまい、ソウシ様にどうにかして欲しいとの事です。」

「なるほどな、病院や葬儀屋が人気なのはあまり喜ばしい事ではないんだが。あそこは急場しのぎに創ったもぐり医者の診療所だから、ベッド数も少ないのは確かだ。わかった昼食の後に診療所に行く。」

「はっ、クロサメ殿にはそのように申し伝えておきます。」



昼食後少し休んでいたらアリスがお着替えしてきた。アリス専用ナース服小悪魔バージョンだ。あらあらこんなにしてしまって、とか言うちょっと嗜虐的なナースの衣装だ。俺がポンポンと膝を叩き呼び寄せると、アリスは俺の膝の上に足を組んで斜めに構えてツンとそっぽを向いて座ってくる。小憎らしいアリスのうなじが見えているので、俺はツーッと指でなぞる。


「あらあらソウシ様、おイタはいけませんよ。」


アリスは俺の方にくるりと顔を向け可愛くにらんで、上目遣いにメッをしてきた。かわいい。



「気力十分、アリス成分満タンだ。よし、診療所にでかけるか。」

「はい、ソウシ様。」


屋敷を出て東北に歩いて行く、お供はエメラルドだ。早速エルフの建設作業員たちが重機を使い作業しているな。ご苦労。という意感じで片手を挙げながらすれ違い進んでいく。


診療所に着くと外にまで患者溢れかえって並んでいた。なんじゃこりゃ?テレビで人気のラーメン屋じゃねーんだぞ?おい。


「よく来てくれたマスター。ベッドが全然足りねえのよ、困ったもんだ。」

「ところで、なんであんなに行列ができてるんだ?クロサメ。」

「最初料金を安くし過ぎたら大挙して押しかけてきてな。しゃーねえんでこの世界の一般的な料金にしたんだがそれでもこの有り様なのよ。勿論どうしても払えない奴は1ゴルドで診てやってる。全部俺の腕のせいなんだがな、ガハハハハッ!」

「だがエルフの里にも医者は居るんだろう?」

「居るには居るんだが、どこぞの未開の蛮族のシャーマン治療レベルのインチキ療法でな。治るものも治らねえからみんなここに来やがるのよ。」

「そうか、まあ気持ちはわかる、同じ料金なら腕のいい医者に診てもらいたいものな。じゃあ早速改築するか。」

「ああ、一つでけえの頼むわマスター。」

「ショウコにアズサ、外に野戦病院用のテントを創ってある、患者を全員外に出してそこに収容してくれ。少しの間我慢だ。」

「「はい。ソウシ様。」」



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