第105話 ビッチーナの贖罪②

「ソウシ様。ビッチーナを連れてまいりました。」

「お久しぶりでございます。御使い様。」

「お前誰だ?とうとう寄生虫に乗っ取られたのか?随分早いな。」

「ビッチーナでございます。」

「いや、前より明らかに若くなってないか?20歳くらい若返ってるぞ。」

「私は今年19歳でございます。」

「は?え?いやどう見ても厚化粧のアラフォーだったはずだが?」

「私を嘘の付けない身体にしたのは御使い様ではありませんか。」

「そ、そう言えばそうだったな。じゃあ19歳も嘘じゃないのか。」

「はい。エリス様の御心を知り愚かな自分に恥じ入るばかりです。」


いや女は化けるっていうけど化けすぎだろ。いや化けてたから酷かったのか?あの時自分の事しか考えないで他人は養分と言い切ったあばずれのビッチーナがこれほど変わるのか?女は魔物って死んだばっちゃが言ってた通りだった!そうか、こいつ魔物か!


「魔石入っているかちょっと調べていい?」

「どうぞご存分に。私は何をされても受け入れます。それほどの大罪を犯しました。」


ビッチーナは何を勘違いしたのか立ち上がり、スカートの裾を捲りあげながら突きだすように俺に向けて股を広げてきた。


「女が魔石を隠す場所はここしかありません。どうぞお調べください。」


魔石は通常魔物の体内の中にある。そこじゃねえ!俺に指を入れて調べろってのか?関所の改め婆じゃねえんだぞ。


改めBBAとは関所で女の髪の中や局部を調べる老女の事で、旅をする女の恐怖の対象であった。現代でも密輸の運び人に女が多いのはそのためである。女は隠せるポッケが多いのだ。


「いや、魔石はまあ冗談だ。もういいから股を閉じろ。解毒剤と寄付金者の名簿が手に入った。これより贖罪の旅に向かえ。」


「はい、御使い様のご命令通りに致します。お見苦しいものをお見せして申し訳ありませんでした。」


「別にそれほど見苦しくもなかったが。ところで歩きでは時間がかかり過ぎるから足は俺が用意した。キリカKと言う居住環境のある高速装甲車だ。食事やトイレ寝泊まりは全てこの車の中でしろ、防御が堅い。それから衛士を5名護衛につける、傍を片時も離れるなよ?お前はゴルドステ教団からすれば背信者で裏切り者だ、道中どこかで必ず命を狙われる筈だ。十分気を付けて行け。」


「はい、御使い様のお心づかい感謝いたします。すぐに出立し贖罪の旅に行ってまいります。願わくば贖罪の旅が終わった時、エリス様の巫女にして頂けないでしょうか?」


「巫女はうら若き乙女じゃないといけない仕来りなんでな、アラフォーのあばずれじゃあ条件に合わないんだ。」

「何度も申し上げますが私は19歳でございます。それに処女です。」


「あ、そうだっけ?てゆーか旅先で絶対に股とか広げるんじゃないぞ?そんなんだからビッチと勘違いされるんだ。まあお前は贖罪が先だ、皆に謝罪し許されて無事に贖罪が済んで帰ってきたら考えよう。」


「御使い様にしかお見せ致しません、私はエリス様の巫女となる身ですから。」

「そ、そうか。ならいい?のか?いや、そんなことはどうでも良いからさっさと行ってこい!」

「はい、畏まりました。ビッチーナ行ってまいります。御使い様。」


ビッチーナは三つ指ついてお辞儀すると、キリカKに乗り込み贖罪に旅だって行った。どうなってんだあいつ?人類の寄生虫とまで言われたほどの悪女が。



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