第168話 魔王の逃避行


時は戻って現在。風の精霊シルフィードのフィーがこの頃流行の小さなお尻をまる見せで去った頃。



魔王ミリア一行は東の半島の岬を目指して逃走を続けていた。ミリアの種族はバンパイアである、ミリア自身は空を飛べるのだが従う魔族の中には飛べない者も居てそれに合わせているのだ。一行はミリアのすぐ下の妹ミリムと父の弟で叔父の公爵一家、王家筋の親類の者、身の回りの世話をするサキュバスの侍女数名、魔王家の執事であるインキュバスの男数名、それにロイヤルガードの竜人族達30名などミリアを幼少のころから慕う総勢50名ほどである。


「もうすぐ海に出るわ、みんなもう少しだから頑張って!海を渡ればラミアのミアリミアとアラクネのクーネルの2人が守る砦があるわ!

「姫様、海を渡るのは良いですが船はいかがなさいますか?」

「そうね。軍船はみな宰相に抑えられているでしょうし。ロイヤルガードの兵長さん、同じ竜族の遠縁として海竜族に海を渡る手助けを交渉して貰えないかしら?」

「わかりました姫、我が先行して交渉してまいります。」

「お願いするわ。海を渡れないと私たちは追っ手に皆殺しにされてしまうの。」



同時刻、魔王城を包囲し中に攻め込んだ謀反人たちは城の中がもぬけの殻に気が付いた。


「クソッ!謀反を察知されたか。あの小娘を取り逃がしてはならん、魔王の玉璽を奪い取り絶対に討ち果たすのだ!おそらく東の大陸の魔族砦を目指すに違いない。儂は王都の逆らう住民を皆殺しにして制圧するため残らねばならん。誰が追っ手となる?」

「儂は宝物殿を改めませぬとな、追っ手は他の方にお任せ致そう。」

「わしゃあ足が遅いけんのう、他のもんが行けばいいじゃろ。」

「私は王都の住民をいたぶって虐めて殺しまくりたいのですヨ。」

「それならば妾が行きましょうベルゼバビデブ殿。あの小娘の顔を切り刻んで惨殺してズタぼろにして尻から槍を串刺にして見世物にして連れ帰りましょうぞ!」

「オニーバーバ殿か、今直ぐ追ってくれ。逃がして再起をはかられたら面倒な事になるからな。特に魔王の玉璽は絶対に持ち帰ってくれ。」

「わかりました、早速妾が鬼女部隊で追いましょう。」


鬼女オニ―バーバは自分の手勢を引きつれて喜々として東に向かった。


オニ―バーバの真実の姿は般若の面を醜悪にした様な山姥であるのだが、狩の時は魔力で化けて若い美女に見せかけている。一応女型となっているのだが、お股は虎バサミ状の大口になっていて、誘い込んだ男のモノを食いちぎって食べるのだ。残りの体は山姥の包丁で切り刻んで鍋に放り込んでグツグツ煮て食らう恐ろしい鬼女なのである。


オニ―バーバは東の大陸の砦の指揮官を外されたことに対し魔王ミリアに強い恨みを抱いていた。ミリアは魔国の住民にしようとしている獣人たちがみんな食い殺されてはかなわないのでオニ―バーバを外したのだが、それが裏目に出てしまったようだ。



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