第158話 ビッチーナ暗殺計画①


話しは変わってこちらゴルドステ教団本部の枢機卿執務室。


「あのクソビッチ聖女め!恩知らずにも教団を裏切りおって!」

「マッカウソー枢機卿さま、教団の集めた寄付金は1ゴルドも減っては居りませぬ。」

「それは良いのだが、各地で教団の有る事有る事事実ばかり悪口を言い触らしているそうなのだ。特に諸国連合のある平原南西部では住民らが商工ギルドと一緒になってゴルドステ教団排除運動まで起こしているそうだ。クソッ!あのアマ噛み砕いてぐちゃぐちゃに殺してやりたい!」

「それならば暗部に始末させては如何でしょう?」

「いや、教団の暗部は使うな。ビッチーナ殺しは犯罪ギルドに外注しよう。」

「それでは足がつきませぬか?」

「バカめ、足がつかぬよう何重にも下請を噛ませるのだ。そうだな、儂が懇意にしている帝国貴族のマキアゲリッチ侯爵に相談してみるか。マキアゲリッチ殿に連絡をしろ。」

「はい、かしこまりました枢機卿さま、さっそくに。」

「クソッ、今日は孤児奴隷でもいたぶらんと腹の虫がおさまらん。手配しろ。」

「はい、マッカウソー枢機卿さま。ただちにご用意を致します。」


ゴルドステ教団の背信者のお仕置き部屋と言う名の拷問部屋。マッカウソーは連れて来られて鎖に繋がれた8歳くらいの男の子の孤児奴隷を狂ったように殴る蹴るしてストレス発散していた。子供はもう虫の息だ。更に暴行を加えるととうとう殴り殺してしまった。


「もう一匹釣れて来い。もっと頑丈な奴隷をだ!」

「は、はい。ただちに。マッカウソー枢機卿さま。」


これで聖職者を名乗るとはあきれ返ってしまうド外道である。



帝都、マキアゲリッチ侯爵上屋敷にて。


「これはマッカウソー殿、久しぶりじゃの、今日は如何なされた?」

「マキアゲリッチ殿、突然ですまぬが、教団を裏切ったビッチーナ聖女の件で力を貸して欲しいのですよ。」

「ほう、儂がいつも使っている地下犯罪ギルド“ジゴクノサターン”を使いたいのだな?」

「はい、ゴルドステ教団に足がつかぬよう暗殺を手配できませぬか?お礼はこれに。」


そこには金貨がぎっしり詰まった菓子折りが配下に持たせてあった。マキアゲリッチは蓋を少しだけずらし蓋を元に戻すとニタァっと三日月形に口を歪めた。交渉成立の様だ。


「いつも美味しい土産をすまぬなマッかウソー殿。儂に任しておきなされ。ターゲットはビッチーナ一人で良いのじゃな?」

「はい、ビッチーナさえ始末できれば、ゴルドステ教団排除運動も下火になるはずですので。宜しくお願いしますマキアゲリッチ殿。」

「なんのなんの、教団とは持ちつ持たれつの間柄。またうまい汁を吸いましょうぞ。」

「そうですな。民とゴマは絞れるだけ絞りませんといけません。マキアゲリッチ殿。」

「「イーヒッヒッヒッ!」」


「早速暗殺の手配しておきますので大船に乗ったつもりでいて下され。」

「わかりました、吉報をお待ちしています。これにて失礼いたします。」


こうして悪党どもにビッチーナは密かに狙われることになった。



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