第107話 エリス神殿街の様子①

ゼネコンのアプグレードが済んだ後、俺は神殿街を見て回ることにした。色々あり過ぎてエリス様のおひざ元がおそろかになっていてはいけない。お供はトパーズだ。


エリス神殿の左に議会堂がある、俺は全然使ってないが、白黒エルフや獣人区長達が何かと寄合してるようなのでそのままにしてある。


参拝客を避けてエリス神殿に入ってみると掃除の時間ではないため箒を持っている巫女は居なかった。販売所に向かうときゅぴぃが俺を見つけて飛びついてきた。よしよし。学校が出来てから教育が進んできゅぴぃも揉みくちゃにされることは無くなってきた。巫女達も気づいて挨拶に出てこようとするのを手で止める。


客が多いからまたな、と言って手を振って去る。お菓子を配るところは販売所ではなく別の場所にしたからそこへ行ってみる。学校がまだ終わってないので子供はあまりいなかった。親同伴の小さな子がいるだけだ。学校は無料にしてある。スクール馬車も出ている。通学は別に強制じゃない。大抵の家庭は無料で教育が受けられるので積極的に通わせている。こちらにアリシアが居た。


アリシアは人間初の巫女である。黒髪黒目の女の子だ。色とりどりの獣人巫女達は耳やしっぽが派手なので一番巫女っぽく見える。元王女なのだがもんぺを履かせられるほど家が貧乏だった不憫な子だ。


「御使い様、ようこそいらっしゃいました。」

「アリシア、暇かい?」

「今ははい、もうすぐ学校が終わると子供たちが押し寄せてきて戦争状態になります。」

「巫女服似合ってるよ、可愛いじゃないか。なあアリス。」

「はい、とてもよくお似合いですよ。」

「あ、有難うございます。念願のもんぺ卒業が出来て凄く嬉しいです。」


アリシアは巫女服を見せつけるようにくるりと回ってお辞儀をした。


「一人遠く離れて寂しくは無いか?家に戻りた・・。」

「いいえ!ぜんっぜん寂しくないです!姉さま達は優しいですしお食事は美味しいですしお風呂は広いですしおトイレは臭くないですしお菓子は食べほうだしですしベッドはふかふかですしとても幸せです。ぜえ、はあ。」

「そ、そうか。それならば良いんだが。」


巫女の間では先輩を○○姉さま後輩を〇〇ちゃんと呼ぶ決まりになっているらしい。おそらくダクネが震源地だろう。その後本殿に向かってエリス様にお祈りしてエリス大神殿を後にした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る