第108話 エリス神殿街の様子②

大神殿からはしる門前のメインストリートには割と大きな商会がズラリと店を構えている。何時の時代も商売人は目ざとい。門前広場には屋台が溢れかえり盛況な様子だった。少し離れた所にアンテナショップはあるので歩いて行く。


「これじゃあ入れないな。」

「そうですね、今日は止めておきましょう。ソウシ様。」

「アリスと和風甘味でも食べようと思ったんだが。和風味も人気でるとは思わなんだ。」

「私が白玉フルーツあんみつでもご用意しましょうか?ソウシ様。」

「白玉か、あの食感好きなんだよな。今度一緒に創ろうかアリス。」

「はい、そうしましょう。ソウシ様。」


3ショップともずらーーーりと行列ができている。女女女、女ばっかりだ!たまーに男?って感じで店の裏手の公園まで人が溢れている。店員が出てきて行列の整理までしている。なんだこれ?これじゃ店舗いくら増やしてもイタチごっこだ。事故にならなければそれで良いのでスルーした。


アキンドのデパート商館に行ってみる。こちらも大盛況だったので華麗にスルーした。リゾートホテルに行ってみると客室は満員だった。俺たちは泊りはしないからいいんだけど。何でも最上階の1フロア貸し切っている客がいるそうだ。近くには宿屋通りを形成しつつある。ホテルから溢れた客の受け皿で商売できるから自然とそうなるのだ。


遠くにゼネコンの社員寮が見える。Mr.マダムシャルダンの食品工場と系列ショップも社員寮を建てたようだ。用は無いので行かないが。


クロサメ病院に行くと側に野戦病院のテントと避難民用の仮設テントがある。軽症者は野戦病院のテントに、重症者は病院に収容している。仮設テントには焼け出された獣人区の獣人が沢山住んでいた。救援物資は側に山積みされている。放火の犯人は分っているので没収された財産の中から見舞金も支払われている。ここには俺は顔を出さない、病人に平伏されても困るからだ。院長室のクロサメの所に顔を出すくらいだ。


獣人戦争で奴隷にされた女子供たちは既に完治し各方面に散っている。家族が居るものは家族のもとへ帰り。身よりの無い子供は同郷の区長が引き取って面倒を見ている。孤児院は必要なかった。身よりの無い女性は自立して故郷に帰らず、エリス神殿街で働いて暮らしている者が多いそうだ。


夕刻になったので城に戻ってきた。


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