第59話 アリス姫のお城

状況を整理する。


まず獅子獣人のやつらだが、捕えて他所に隠してまで奴隷にしたんだ、囚われた者がすぐに殺されるような事はまずない。獅子獣人は東に軍を向けている最中だ、ティナが地下牢に居ないのは黒豹獣人が連れ出して合流するつもりとみていい。傲慢で迂回などしそうにないからまっすぐ来ている。予想進路は大森林の端にあり最初に通過するティガ―の虎獣人集落だ。接敵予想は二日後。ここで出迎えてやろう。


豚獣人も東に向かっている。一見すると獅子獣人に合流するようにも見えるが、果たしてどう動くか。下衆の考えることなどわからん。出来る事をしておく。


「ラピスラズリは居るか?」

「ここに、なのです。」

「パールと協力して映像に音声を付けてくれ。奴らの会話を拾うんだ。」

「畏まりましたなのです。ソウシ様。」


「それと、トパーズ。」

「あい。」

「俺が飛行艇を創る。先に虎獣人の集落に向かい、荒れ地側に防御陣地と適当に罠を仕掛けておくのだ。」

「あい、了解です。ソウシ様。」



一通りメイドール達に指示を出してアリスといちゃいちゃする。隣合わせにぴとっと顔を寄せながらお城カタログを見る。まるで新婚さんのお部屋探しのようだ。


「アリス、お城カタログを一緒に見よう。」

「はい、ソウシ様。」

「アリスはどんなお城が好みだ?」

「そうですね、これなど如何でしょう?」

「ノイシュヴァンシュタイン城か。シンデレラ城のモデルになったとかいうメルヘンチックなアリスにぴったりのいい城だ。これをモデルにアレンジして創ろう。」

「アリスとっても嬉しいです、ソウシ様。チュッ。」

「アリスの為ならなんだって創ってやるからな。チュッ。」

「はふぅ。アリスおかしくなっちゃいますぅ、ソウシ様ぁ。」


俺はとろんとした目で溶けかかっているアリスとメイドール全てを連れて外に出る。


「ドールクリエイト!ドールハウス!お城!」MP500000。


ドドドドーーーン!


巨大なお城が出てきた、純白の壁に屋根は群青色で艶がありピカピカだ。尖塔や見張り塔があちこち突き出していてビジュアルが素晴らしい。噴水の前にはにかぼちゃ馬車が停まっていて、まるで絵本の中から飛び出したおとぎ話の世界の様だ。ついでに薔薇園も創っちゃおう。


「まあ!とてもきれいなお城ですね!すごく素敵です!」すりすり。

「そうか、そんなに気に入ってくれたかアリス。」なでなで。


そして俺とアリスはお城の裏に回りドールハウス飛行基地を創造した。MP800000。オプションの飛行艇は高速仕様で2人乗り水陸両用、豚が乗っていた赤いやつがモデル。同じ豚でもあいつはカッコイイからな、こっちのゲス豚とは大違いだ。早速トパーズが乗り込みゴーグルを下し、親指を立てて虎獣人集落に向けて発進していった。


一方その頃。


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