第142話 ワ―レン出張
エリス神殿祭が無事終了し翌日俺は城でまったりしていた。メイドール達は特別任務が無い限り基本のローテーションで休みがあるのだが、この日は一斉に休みを与えて城を出て行かせた。城に残っていると何かしら仕事をしてしまう彼女たちだからだ。
ワ―レン区から通信が入った。
「ワ―レン区長か、どうした?」
「巫女が区民投票で選出されましたので、お知らせをとおデンワした次第でして。エリス神殿に直接巫女を送り届ければ良いのでしょうか?」
「あーそうだな、上下水道早い方がいいなら俺が行って創った後、その巫女を連れて帰ってもいいけど?」
「是非お願い致します!環境大臣が、いえ環境担当区長補佐が早くしてくれと鼻をつまんで五月蠅くてうるさくてかないません。恐縮ですが御使い様に御足労願えますでしょうか?」
「あはは。他の区に行ったんだな?臭い所にずっと住んでいれば慣れていて何ともないが、無臭を知ったら二度と臭い所には住みたくなくなるんだよ。わかった俺が今から行こう。」
「宜しくお願いします。」
通信を切った後、アリスと2人でかぼちゃの馬車で出かけた。今日はお供はいないので馬車の中が広く取れるのでいちゃいちゃしまくった。港町ワ―レンに着いて馬車を降りると。
「くさっ。便臭と磯臭ささが混じりあってこれはキョーレツだな。」
「ソウシ様、先にお創りになっては如何でしょう?」
アリスがお姫様の羽扇子で口元を隠している。あれはとても臭い時に相当我慢しているアリスの仕草だ。アシヤの冒険者ギルドでもやっていたな。俺は先に上下水道を設置する事にした、いきなりそれで臭いが消えるわけではない。ここから各家庭に連結するには工事が必要だ。それは民生を司る区長の仕事だ。俺達はアリスと俺のスキル、愛の複合技で周囲だけ臭わなくしている。無詠唱でな。
というわけで区長の所に来た。
「ワ―レン区長、上下水道は設置した。後はそちらで各家庭に連結してくれ。ゲンサンに依頼すればあっという間に仕上げてくれるよ。」
「はい、御使い様に感謝いたします。環境担・・。」
「区長!早速ゼネコンに依頼してきます!」
環境担当区長補佐が挨拶もせずすっ飛んで行った。
「部下がとんだ失礼をいたしまして済みません。」
「あはは、ああなっても仕方ないさ。気にしてないよ。」
「まことにもって恐縮です。」
「それで区長、その選挙で決まった巫女はどこに居る?」
◇
「ミスワーレン、エリス様の巫女になりたいの私!で選ばれたのはこちらの女の子でございます。実は私の娘でもあります、何卒よしなに。」
「ツバメと言います。御使い様、聖女様。宜しくお願いします。」
黒髪ロングで割と美人な顔立ちである。名前も顔も日本人みたいな感じで巫女が似合いそうだ。
「へえ、そんな名前の選挙やったのか。なに?区長の娘が当選したのか?まさか不正をやってないだろうな?」
いやいやいやいや、そんなこと致しません。ワ―レンは古くから共和制で選挙に誇りを持っておりますから。9割超の得票率で娘が選ばれました。」
「ツバメと言ったな、エリス様の巫女になりたいのか?」
「はい、なりたいです。巫女服が舞うミコミコダンスもとても素敵でした。」
「エリス神殿祭で見てたのか、確かにあのダンスは綺麗だったな。」
俺達はツバメを連れて戻ってきた。
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