声
1件目が終わり、2件目の場所へ移動中。今のところは順調に進んでいる。時間も問題ない。
「琴音」
「?」
わたしは振り返る。けれど、そこにはだれもいなかった。
「なにしてんの」
「今、誰かに呼ばれた気がしたの…」
「気のせいだよ。今の僕らは周りから見えないんだし」
「そうだよね…」
「うん。早く行くよ」
空耳にしては、やけにはっきりと聞こえた。あれは一体なんだったのだろう。
わたしが呼ばれたと思った場所が、彼女の家の近辺だったということは、後で知った。
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