君のため


「え…!?」


 その話を聞いたのは翌日。わたしは言葉を失った。


「昨日病院にいたのは、副協会長。実は緊急招集がかかったあの日、昼頃に倒れて搬送されたらしいんだ。協会内部でも、知っている人は少ない」


「なん、で…」


「混乱させないように、副協会長が望んだことだって。…一番は、君のため」


「わたしの?」


「そう。君の仕事に、支障が出ないようにって」


「……」


 自分が大変な時でも、わたしのことを考えてくれるなんて。わたしは泣きそうになる。


「ちなみに協会がピリピリしていたのは、そういったことで情報や指示に不備があったりしたかららしい」


「そうだったんだね…」


 叔母がなかなか家に帰ってくることが出来ないことから、忙しいことはわかっていた。休みがないことも。


「わたし、叔母のところに行ってくる。ちょうど明日休みだから」


「うん。行っておいで」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る