叔母
「…ん」
ふと目を開けると、辺りは真っ暗。いつの間にか眠ってしまったらしい。
眠い目を擦ってリビングへ向かう。するとそこは、電気が点いていた。
恐る恐る入っていくと、叔父ではなく、叔母がいた。
「あら、起きた?」
「叔母さま…、おかえりなさい」
「ただいま。全然帰ってこれなくてごめんなさいね」
「あ、いえ…」
叔母はキッチンで料理をしている。
「夕方、あの人が帰ってきたでしょう。大丈夫だった?」
「…ごめんなさい。いつまで経っても落ちこぼれのままで…」
「いいのよ、あの人が勝手に言っているだけなんだもの。わたしは、琴音ちゃんは立派な死神だと思うわよ」
「そんな…。わたしなんてダメダメです。…すぐ顔に出るし泣いちゃうし、遅い時間だとあくびしてしまうし…」
「そうねー。死期を悟られてはいけないという決まりがあるからダメかもしれないけれど、でもそれって感情が豊かってことでしょう? それに人間だもの。いくら集中していたとしても、あくびくらい出ちゃうわよ」
叔母はいつも優しくフォローをしてくれる。そんな彼女は副協会長で、もちろんSランク。
「さ、出来たわ! 食べましょう!」
テーブルに並べられたのは、綺麗に盛り付けられたライスコロッケ。わたしの大好物の中のひとつだ。
「まだあるから、いっぱい食べてね」
「はい! いただきます!」
誰かとこうしてご飯を食べるのはいつ振りだろう。人と食べると美味しいことを、改めて実感した。
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