ご褒美


 お昼休み。今日はお弁当を作れなかったので、久しぶりに購買に来た。そこには黒崎くんもいた。


「あげる」


 そう言って渡されたのは、自動販売機で売っている、紙パックのココア。わたしがたまに買うものだ。


「昨日、泣かなかったから」


「あ、あぁ…、そういえば…」


 黒崎くんが勝手に始めた賭け。すっかり忘れていた。


「今日も泣くなよ。…ジュースはあげないけど」


「うん。ココア、ありがとう」


「どういたしまして」


 少しだけ笑う。


 最近、黒崎くんが笑ってくれるようになった気がする。


「じゃあ用事済んだから戻る。放課後、迎えに行くから」


「ん、またね」


 黒崎くんは教室に戻っていった。


 ココアが温かい。わたしは蒸しパンを買って今日に戻った。



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