そういう風にできている


 現場であるデパートに着くと、警察や報道関係者、野次馬がたくさんいた。


「こんなに…」


「召集かかったくらいだから」


 わたしたちはドアをすり抜けて中へ入る。協会の制服は便利なものだ。


 店内は灯油臭い。大勢の人質と死神。そして、混乱状態に陥っている。無理もない。人質にされた挙句、死神がたくさんいるのだから。


 犯人は男女6人グループ。リーダーは今現在電話をしている、体格の良い男性。


「黒崎くん」


 対象者を捜しつつ、わたしは小声で話しかける。


「?」


「…あ、ごめんね。やっぱり、なんでもない」


「…大丈夫。“そういう風に”出来てるから」


 言おうとしてやめた言葉を、理解してくれたらしい。


「キャ────ッ!!」


 悲鳴と同時に、辺り一面が炎に包まれた。


 逃げようとする人、泣き崩れる人。


 熱い。


「柊、こっち」


「う、うん!」


 この火の海の中、対象者を捜すのは困難を極めた。



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