黒崎の休憩時間


 休憩時間に入り、僕は田沼の勉強を見ている。


「そういえば、琴音は一緒じゃないんですか?」


「上に呼ばれているらしい」


「へぇ…」


 協会長と副協会長が柊の身内であるということを、つい最近知った。そして、苦しい思いをしてきたことも知った。


「黒崎さん、ここ…」


 詰まったらしく、やり方を聞いてきた。


「これは、この式を代入する」


 机の上に広げられているのは、数学だけで、他の教科は一切ない。


「君さ、他の教科はやらないの?」


「やってますよ、家で。数学は倍勉強しないとヤバイんですよ」


「あ、そ」


 僕は考え事をしながら、田沼のノートを眺めていた。


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