バディ

 死神協会。その廊下を、わたしは足首までの長い真っ黒なローブを身にまとって歩いていた。


 すれ違うほとんどの人が無表情。


「…あ」


「……」


 奈々ちゃんだ。


「アンタ、バディに会った?」


「今日、学校で…。目が怖かった…」


「目が怖い?」


 珍しく、驚いた顔をする。


「すごく冷たい目をしたの」


「…あぁ、なるほどね。アイツ、あたしより当たりキツイから、覚悟しといた方がいいんじゃない?」


「え…」


「ま、頑張りなよ。じゃーね」


「…な、奈々ちゃんっ!」


 わたしの肩にポンと手を置いてから歩き出した奈々ちゃんを、呼び止める。


 どうしても、聞きたいことと言いたいことがあったから。


「…なに?」


「急にバディ解消になったのはどうして?」


「…あたし引っ越すの。転校するし、勤務地も変わる」


「えっ?」


「そういうことだから。じゃーね」


 奈々ちゃんはふたたび歩き出す。


「あ…、ありがとう!! わたし、足引っ張ってばっかりだったけど、奈々ちゃんがバディでよかった!!」


 彼女は手をひらひらさせた。


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