No.39-5-12


 土曜日の朝10時。わたしと黒崎くんは協会の第3資料室にいた。


 協会にはたくさん資料室がある。資料室の他にも、いろいろな部屋があるけど、その全ては把握できていない。


「…あれっ? No.39-5-12がない…」


「前のページにくっついてるんじゃない?」


「ううん、確かめてみたけど…。これには綴じられてないみたい」


「これだからリスト整理は嫌なんだ」


 黒崎くんは深いため息をつく。


 教室くらいの広さに、リストが隙間なく仕舞われている棚がびっしり置かれ、通路は人がギリギリすれ違えるスペースしかない。こんな膨大な量のリストから、紛失したものを探すのは至難の技。ふたりでは到底無理だ。


 ふたりして絶望感に見舞われていると、突如廊下が騒がしくなった。わたしたちは顔を見合わせる。


「どうしたんだろう?」


「さぁ…」


 一旦作業を中断し、廊下に出てみる。


「あっ、すみません! この騒ぎはいったい…」


「あたしも聞いたばかりなんだけど、協会長から大ホールでお話があるみたいなの。なにか重要なお話らしいわ」


「……」


「柊、なにボーッとしてる? 早く行くぞ」


「う、うん…」


 わたしたちは大ホールへと急いだ。


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