思い

 それは、空が白み始めた朝方。


 わたしは今日も仕事で “ 失敗 ” をした。


「ねぇ、いつまで泣いてんの?」


「ご、ごめ…っ」


「…はぁー。そんなんだから昇格できないんだって」


 彼女はため息混じりに言う。


「あぁ、そうだ。今日でアンタと組むの最後だから」


「えっ!? どうして…?」


「今日の夜からはAランクの秀才くんがバディ兼教育係になるみたいだよ。まぁ、愛想尽かされないように精々頑張れば?」


 そう言って、わたしのバディは行ってしまう。待ってと、思わず引き留めた。


 彼女は気怠そうに振り返る。


「な…、奈々ちゃんは平気なの? まだ生きたいっていう人の魂を狩るのは平気なの?」


「アンタみたいな考えあるわけないでしょ!? 死神に同情なんて、必要ないんだから」


 今度こそ奈々ちゃんは行ってしまった。ひとり取り残される。


 溢れる涙が止まらない。


死神なんて、やりたくないよ…。

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