あっさり…


「…あっ、やっと見つけた!」


 式の後はホームルームがあって、それが終わると逃げるようにして教室を出たわたし。


 いつもの場所に黒崎くんはいなくて、代わりに人混み。念の為、彼のクラスに行って聞いてみると、既に帰ったと言われた。


 周辺を捜しつつ玄関に行くと、黒崎くんはそこで待っていた。


「あまりにも人多くて」


「父兄の方たちもいたからね」


「ここからじゃまだ時間あるけど行こ」


「そうだね」


 わたしたちは外靴に履き替える。


「上靴って置いていったら処分してくれるんだっけ」


「そうだよー」


「じゃあ置いていこ」


「わたしも置いて」


「こと、うわああああっ!?」


「ん?」


 今、誰かに呼ばれた気がした。周りを見てみるが、誰もいない。


「どうしたの」


「なんか、呼ばれた気がして…」


「誰もいないし気のせいじゃないの、多分」


「うーん…。行こっか」


「うん」


 わたしたちは歩き出す。


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