好きの気持ち


「ひっ、柊さん…、可愛すぎるよ」


「え、えぇ??」


「ごめんごめん、気にしないで。柊さんに秋斗が好きか聞いたのは、この子がアイツのこと好きだからなんだよね」


 この子と言われた子は、お人形みたいに可愛らしい顔立ちをしている。その子の名前はわからない。残りの4人の名前もわからないが。


「最近秋斗と柊さん、よく話してるし、昼休みもふたりでどっかに行ってたからさ」


「ちょっと、色々あって…。で、でもあの、そういう気持ちはないので安心してください…」


「わかった。本当、急にごめんね。じゃあ、バイバイ」


 口々にバイバイと言って帰っていく。


 いったい、何事だったのだろう。


 呆然と彼女たちの方を見ていると、


「!」


 突然視界が真っ暗になった。


「ごめん、遅くなった」


 聞き慣れた声。


「ううん、大丈夫」


「友だち出来たの?」


「田沼くんが好きか聞かれただけだよ」


「ふーん。…で?」


「そういう感情はないって言ったら、よくわからないけど、笑われちゃった」


 少し間を置いた後、黒崎くんは軽く笑う。


「やっぱり柊って変わってる。時間ないから早く行こ」


 視界が明るくなり、先を歩く彼の姿が見えた。


「うん」


 わたしは彼についていく。


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