悲しい再会


 翌日、わたしは地元の大きな大学病院に来ていた。もちろん、死神として。冬休み最後のお仕事は、3日間コースだ。


 無菌室の中、よく知ったひとりの女の子が眠っている。


 ──奈々ちゃん。今回の対象者は、奈々ちゃんだった。


 先日メールをもらった時の、モヤモヤして、はっきりしない感じは、このことだったのかと気付く。


「…柊」


「……」


「…辛いと思うけど、いつも通りで、な」


「うん」


「……こと、ね…?」


 彼女が目を覚ます。


「お迎え、か」


 とても苦しそうだ。


「嘘ついて、ごめん。本当は、この有り様…。もう長くないってわかって…、それで、学校も辞めた…」


「奈々ちゃん…っ」


「いつまでか知らないけど、…よろしく」


 そう言ってもう一度眠りにつく。


 知り合いを見送るのは、辛くて苦しい。黒崎くんも、同じ気持ちだったのだろうか。


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