虚無


 1時間目が終わった頃、田沼くんが登校してきた。


 目が腫れていて、心ここに在らずな状態。みんな声をかけにくそうで、遠巻きに見ている。


「…田沼くん、おはよう」


「おはよ。…昼休み、さ、弁当食ってからでいいから、ちょっと付き合ってほしい」


「うん、わかった」


「さんきゅ」


 そう言って力なく笑った。


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