違い


 昼休み。お弁当を用意したところで黒崎くんが来た。


「卵焼き?」


「ん」


「どうぞ」


 わたしは蓋を開ける。いつもとは違う、華やかなお弁当。


「ありがと」


 彼は卵焼きを一口で食べた。


「…いつもと違う」


「え?」


「柊のじゃない?」


「あ、そうなの。今日は叔母さまが作ってくれたの」


 わたしが作る卵焼きは叔母に教えてもらったものだから、そんなに変わるものではないはず。驚いた。


「じゃあ僕行く。ごちそうさま」


「あとでね」


 わたしはお弁当を食べ始める。


 いつもは賑やかな教室。今日はポソポソと話し声が聞こえるだけ。なんだか落ち着かない。


 そんなことを思いながら卵焼きを口に入れる。


「…?」


 いつもの味と違う。甘い。


 叔母は甘い卵焼きが好きではないらしく、ほとんど作らない。


 間違えたのだろうか。でも、美味しい。


 久しぶりの叔母の手作り弁当を、ゆっくり味わって完食した。


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