覚悟


「え?」


 協会に戻る道のりで、ふたりの関係を教えてもらっていた。


「小学校から去年まで、ずっと同じクラス。腐れ縁ってやつ」


 去年ということは、わたしは2年生だ。


「僕らが死神を始めたのは高校に入ってすぐのことで、ウザいくらい毎日一緒だった」


 彼の表情は変わらない。


「まりあが言ってたように、僕は異例とも言われる速さでAランクに昇格したんだ。死神を始めて、3ヶ月も経ってなかったと思う」


「すごい…」


「けどアイツも、1年経った頃にはAランクになってたよ。Sランクは遠いって話をしながら、それを目指して頑張ってた矢先、学校帰りに事故って大怪我したんだ。それが原因で戦力外通告が来たらしくて辞めてった」


 わたしは衝撃を受けた。


 戦力外通告。そんなものがあったなんて、知りもしなかった。


「笑って教えてくれたけど、だいぶ辛かったと思う」


「そう、だね…」


「…変な顔」


「だって…」


「柊」


 協会の一歩手前。黒崎くんはピタッと止まって、わたしの方を向く。


「はい」


「柊はすぐ顔に出るし、すぐ泣くし、落ちこぼれだけど、数日一緒に仕事をしてきて、すごい頑張ってるってことがわかった。柊みたいな奴が必要だってこともわかった」


「……」


「僕は教育係も兼ねてる。あと3ヶ月もしないうちに、Aランクまで昇格させてやる」


「へっ!?」


 彼は珍しく表情を変え、不敵な笑みを浮かべた。背すじが凍る。


「覚悟、しておけよ?」


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