都合の良い奴


 つまらない授業。


 出席日数さえあれば首席で卒業出来たのにと、何度も言われた。


 僕は復習のつもりで、毎日授業を受ける。


 普段は留年した僕を白い目で見たりするくせに、授業でわからないところがある時だけ近付いてくるクラスメイト。正直ウザい。


 最初からしっかりやっておけば良かったものを、なぜ受験を控えた今頃になってやり始めるのか、理解しがたい。どうせ、『とりあえず大学進学』の考えが大半だろう。


 早く昼休みになれ。腹減った。卵焼き食べたい。


 そんなことを考えていると、たいてい授業が終わる。


 時計を見ると、10分前だった。今日は時間の流れが遅い。


「黒崎さん、ここ教えてー」


 前の席の男子が振り向く。敬称を付けて呼ぶくせしてタメ口で話しかけてくる奴。


 僕はわかりやすいように教える。


「…そうか! さんきゅ、助かった! あとで卵焼きやるよ」


「あぁ、ありがとう」


 よし、卵焼き…!


 卵焼きは好物の中のひとつ。ただ、甘いのは嫌いだ。


 終業の鐘が鳴る。


「きりーつ、れーい」


 長かった授業が終わって、昼休みに変わる。


 卵焼き貰いに行こう。


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