君は変わったよ


「ホント思い出しただけでムカつく。なんなのアイツ。秋斗に気に入られてるからって」


「おい、いるぞ」


 ギャルの子が、こちらを向いて嫌な顔をする。


「そ、掃除、終わりです…」


 自分の席に行き、バッグを取って、後ろのコート掛けからコートを取る。その間、鋭い視線が向けられていた。取るものを取ったわたしは、足早に黒崎くんの元へ向かう。


 教室を出る直前、


「幽霊のクセに調子乗ってんじゃねーよ」


 と聞こえた。


「…お待たせ、黒崎くん」


「…ん…、んん」


 眠たそうに目を擦る。まさかこの短時間の間に寝ていたなんて…。


「…情けない顔」


 そう言う彼は、わたしの頬をムニムニ摘まむ。


「ふぇ?」


「なんかあったの?」


「…慣れてるはず、なんだけどね。わたし、そんなに幽霊みたいなのかな…」


「…最近はよく笑うようになったし、というか表情がだいぶ明るくなった。髪もボサボサじゃなくてちゃんと手入れしているみたいだから、そうは思わない。言いたい奴には言わせておけ。大体、幽霊見たことない奴だろ」


 ポンポンと、頭に心地良い重み。


「…そう、だよね。気にしなきゃいいんだもんね!」


「そ。早く帰ろ」


「うん!」


 わたしたちは帰路に着いた。


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