煮込みうどん


 今日は何日の何曜日? 今は何時? 時間の感覚がない。


「琴音」


 わたしを呼ぶ黒崎くんの声。いつもより優しい。


「できたから食べて。…立てる?」


「うん」


 フラつくわたしを支え、ダイニングテーブルまで誘導してくれる。席に着くと、そこには湯気が立っている煮込みうどん。いい匂い。


「少しだけでもいいから」


「うん…。いただきます」


 何日か振りの食事。すごく美味しくて、体の芯から温まる。


「…え、泣くほど美味しいの?」


 黒崎くんが笑いながら、わたしの頭をポンポンする。それが引き金となり、ボロボロと涙がこぼれる。


 わたしは泣きながらうどんを食べた。


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